研究課題/領域番号 |
20K23243
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
堀川 尚子 大手前大学, 国際看護学部, 助教 (20880602)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ダブルケア / 家族看護 / 介護負担 / ストレスコーピング |
研究実績の概要 |
令和2年度は、ダブルケア行う介護者の介護負担軽減につながるストレスの実態を明らかにするため、親、義親の介護と学童期まで(0~12歳)の子育てを行う女性を対象にして半構成的インタビュー調査を実施した。 方法は、大阪府下の333ヵ所の居宅介護支援事業所の管理者に文書にて研究の主旨、目的、倫理的配慮等の説明と研究協力依頼書を郵送した。研究協力の返信を得た施設は7施設であった。そして、担当する介護支援専門員に研究の主旨、目的、倫理的配慮等と研究協力依頼書を郵送し4名の介護支援専門員から協力の承諾を得た。承諾を得た後、研究者は介護支援専門員を訪問し、再度研究協力の確認を行い、ダブルケアを行う介護者に説明と同時に依頼を委ねた。そして、ダブルケアを行う介護者の研究協力の承諾を得、インタビュー調査を実施した。実施場所には新型コロナウイルス感染の拡大状況の対策を行い、プライバシーを保護し協力者の希望に沿った場所で行った。半構成的インタビューの時間は60分程度で、内容は子育て・介護のストレスや介護負担について、親戚や家族の理解、サービスの利用や余暇、そして相談する機会について質問し、自由に語っていただいた。また、ICレコーダーで音声を録音することを文書と口頭で説明した後に協力者の同意を得て録音した。 録音したICレコーダーの内容を逐語録にした後、逐語録を繰り返し読み返し、ダブルケアのストレスとなる内容を文脈に沿って抽出した部分をコード化し、コードの類似性からサブカテゴリ、カテゴリを生成し、収斂を繰り返してデータを分析し課題を抽出した。しかし、データ量の不足によりさらなるデータの必要性を認めたため、今後インタビュー調査を追加して実施する予定である。その後、質的研究の経験のある2名のスーパーバイズを受け、分析結果の信頼性と妥当性を検証する。そして生成したストレスに対して研究の第2段階を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究協力の同意が得られた施設が計画よりも大幅に少なかった。また、研究協力者も想定以上に少なく、計画時の40%しかインタビュー調査を行えていないため、飽和するデータを収集出来ていない。さらに、感染拡大の状況が一時期低下した際に、再度研究協力の依頼を行ったが、回答を得た施設は全くみられなかった。これらの理由により研究計画より大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査の研究協力を依頼する施設範囲を拡大して協力を依頼していく。具体的には、ダブルケア支援を行う市町村に限らずに居宅介護支援事業所の他に、介護老人保健施設などの在宅支援を行う事業所にも研究協力の依頼を行う。また、インタビュー調査には、非対面ツールを用いた方法も取り入れ、感染予防対策を講じた調査方法を行う。そして、研究遂行のための情報収集や成果に関する学会発表はオンラインで行われるようになっている。そのため、オンラインでの学会の他、研究遂行に必要な技術獲得のための研修等にも参加していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に参加予定していた学会がweb開催となったため、学会参加としての旅費を使用しなかった。また、当該年度の調査協力者が計画より少なかったため交通費と謝金が計画よりも低額となった。しかし、質的データ分析ソフトを追加することで、インタビュー調査で得られたデータの分析を円滑に行うことができた。 当該年度に行った調査ではデータ量の不足のため、インタビュー調査を追加して依頼していく。また、インタビュー調査では新型コロナウイルス感染拡大により研究協力が得られた施設が計画より少なかったことをふまえて、2段階目の調査は、協力を依頼する範囲を拡大することを検討しているため、文書費、通信費の増大が見込まれる。さらに、本年度は統計解析ソフトを用いて分析を進めて成果を生成する予定である。
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