研究課題/領域番号 |
20K23244
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
石丸 知宏 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (30813737)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 産業保健 / 転倒 / タイ / 高齢化 / 労働災害 / アジア |
研究実績の概要 |
アジア新興国において、主要産業の農業従事者の高齢化に対応した安全健康施策は喫緊の課題である。本研究では、アジア新興国の中で最も早く高齢化が進行するタイを対象国として、農業従事者の身体機能と高齢者に特徴的な労働災害である転倒災害の発生をコホート調査する。特に、日本の製造現場の転倒災害リスク評価手法を応用してタイの農業従事者の身体機能を評価することにより、日本の高齢労働者に対する転倒災害防止プログラムをアジア新興国の農業従事者に展開する上での学術的知見を得る。
タイの農村地域では、社会保障制度が十分に整備されないまま深刻な高齢化を迎える可能性があるため、中高年の農業従事者が自身の身体機能や転倒災害の発生リスクを評価、改善するプログラムの開発は極めて重要である。そのためには、農業従事者における転倒災害の発生リスクを推計するための身体機能の基準値や評価値を設定する必要がある。しかしながら、日本国内においても農業従事者の身体機能と転倒災害の発生の関連性は明らかでない。将来的なプログラム開発を見据えた身体機能の基準値や評価値を設定するためにも、農業従事者の身体機能と転倒災害の発生の関連性を評価する必要がある。
本研究では、タイの農業従事者約に対して、身体機能測定と質問紙で構成されたベースライン調査と6か月後のフォローアップ調査を実施し、身体機能と転倒災害の発生との関連性を評価する。本年度、タイの農業従事者454名からベースラインデータを収集した。今後、研究に必要なデータクリーニング及び横断的評価を行うとともに、コホート調査を継続実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行に伴って、現地訪問のキャンセル、調査予定地の変更があり、当初の計画より遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、日本とタイ両国での倫理審査の承認を得て、ベースラインデータの収集まで完了した。引き続き、収集したデータの横断的評価およびコホートデータの収集を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行に伴って現地訪問がキャンセルとなり、当初計画していた旅費の執行がなくなった。また、研究計画の遅れによりデータ収集が年度を跨いだため、翌年度に本調査に要した委託費を計上する。
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