研究実績の概要 |
就寝3時間前に低強度運動、就寝4時間前に中高強度運動を地域在住女性高齢者13名に実施し、それぞれ平均0.37℃、0.56℃の深部体温の上昇が確認できた。翌日の主観的な睡眠の質を問う質問紙の結果、中高強度運動は座位活動に比べて有意に夢見の得点が良好であり、疲労回復においては中高強度運動が座位活動と低強度運動に比べて有意に良好な値を示した。一方で、客観的な睡眠の構造においては、低強度運動が、座位活動と中高強度運動に比べてレム睡眠潜時が有意に早く、総睡眠時間が有意に長い結果を示した。睡眠効率においても、低強度活動が高い値を示したが、有意な群間差は認められなかった。睡眠中のデルタパワーは有意な違いはみられなかった。主観および客観的な睡眠のパラメーターでは、運動の強度に相違する結果が得られた。 fNIRSを用いた前頭前野の活性化を検討した結果では、有意な交互作用は認められていないものの、低強度運動のみが試行前に比べて試行後に良好に活性化した値を示した。しかし、翌日の前頭前野の活性化は変化はみられなかった。一方で、前頭前野の活性化と睡眠中のデルタパワーの中では、有意な相関関係を示し(r = 0.473, P = 0.008)、今後は、前頭前野を活性化する運動(例:マルチタスク運動)を工夫することで睡眠中のデルタパワーを向上させることができる可能性が示唆された。
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