研究課題
臨床現場におけるウェアラブルセンサーを用いた効果的な歩行練習の実現に向けて、歩行中の適切な教示方法の検討や、高齢者や脳卒中患者での歩容の分析を行った。これらの結果をまとめて学術集会で報告した。適切な教示内容の検討については、若年健常成人において、歩行時の立脚後期における足関節底屈角度、trailing limb angle(TLA)に着目した口頭で行った教示の前後で歩行パラメータを比較した。その結果、両教示において歩行速度が即時的に向上したが、各教示で強調したパラメータの増加を認めた。この結果は、臨床現場における歩行指導の特異的に行うことの重要性を示したと考える。この分析の一部で第26回日本基礎理学療法学会学術大会に演題登録を行い、論文作成も予定している。高齢者に関する検討では、遊脚期の膝関節屈曲角度と立脚後期の下肢伸展角度が関連すること、骨格筋量や筋力が低下している地域在住高齢者では最大歩行中の遊脚前期のTLAが小さく、推進力を得にくいため、歩行率を選択して適応している可能性を示した。この分析の一部は第57回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表した。脳卒中片麻痺患者を対象とした分析でも、遊脚期の膝関節屈曲とTLAの関連を示した。また、TLAを構成する要因としてバランス能力との関連を認めるなど、TLAは身体機能や歩行能力向上に関連する重要な要素の1つである可能性を示した。この分析の一部は第18回日本神経理学療法学会学術集会で報告した。
3: やや遅れている
健常成人におけるデータの蓄積を行い、入院患者を対象とした計測を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症のために実験を行えていない期間があり、データの蓄積に若干の遅延が生じた。
これまでに蓄積した若年健常成人、高齢者でのデータを論文として投稿する予定である。入院患者を対象とした、教示が歩容に与える影響を検討する予定である。その結果を踏まえ、歩行特性に応じた歩行練習の効果を検討する予定である。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴うデータ計測の遅延、学会発表のweb開催などに伴い、旅費や論文投稿費を使用する機会が減少したことで差異が生じたと考える。その費用を計測用の機器の補充(ウェアラブルセンサー、ステーション等)、作成中の論文の掲載料、計測時の謝金等に使用する予定としている。
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