研究課題/領域番号 |
20K23260
|
研究機関 | 人間総合科学大学 |
研究代表者 |
塙 大樹 人間総合科学大学, 保健医療学部, 助教 (00884032)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | 表面筋電図 / 運動単位 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、体幹筋運動単位の興奮特性を用いて脳卒中患者の姿勢調節における神経変調を解明することである。健常成人での予備的検討、慢性期脳卒中患者に対する検証、急性期脳卒中患者に対する検証と段階的に進める予定であった。 当該年度は、健常成人を対象に、多点表面筋電図(4つ電極)を用いて、様々な課題における複合活動電位から運動単位の分離を試みた。これにより、脂肪層が厚い筋や、皮膚・筋線維の動きが大きい部位では分離が困難なことを明らかにした。同様に、動作課題も皮膚や筋線維の動きが大きい等張性収縮では運動単位波形が変形しやすく、分離には困難を極めた。また、運動単位の分離が可能であったつま先立ち課題における腓腹筋・ヒラメ筋活動についても、課題反復時の運動単位分離波形の再現性は低いことを明らかにした。具体的には、膝関節固定装具着用の有無において腓腹筋・ヒラメ筋の運動単位波形・数ともに有意差が存在した。これらの結果は、4つ電極における運動単位の分離精度とその適用範囲の明確化に寄与した。4つ電極では脂肪層の厚い体幹表面筋電図波形から運動単位を分離することは困難であることがわかり、今後電極数を増やして実際の患者計測への応用可能性を高める必要性も明らかにできた。解析プログラムについては、電極数の増大に合わせて変更する準備ができている。また、これらの成果は、国際学会(Neuroscience 2021)にて発表する準備をすでに済ませている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から脳卒中患者に対する実験計測を試みたが、新型感染症の流行状況から困難であった。ただし、4つ電極を用いた健常成人に対する予備的検討を実施できた。この検討により、複合活動電位から運動単位を分離できる筋や課題を明確にでき、本研究をより円滑に遂行する準備ができた。上記成果は国際学会(Neuroscience 2021)への投稿と共に、別のプロシーディングスでの発表も準備している。現在の進度は不十分だが、今後大きく進展する準備ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、4つ電極から飛躍的に電極数を増加し、64チャンネルにて体幹筋複合活動電位からの運動単位分離を検証する。また、この分離方法を脳卒中患者の計測へ応用する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型感染症拡大の状況を受け、脳卒中患者に対する計測が遂行困難であり、その際に使用する物品購入に必要な額を次年度に繰り越した。また、これを受けて健常成人に対する予備的検討結果を得るのも予定よりも遅れたため、成果発表に必要な英文校正費用や旅費も次年度に必要となる。
|