研究成果の概要 |
脳卒中後に上肢運動麻痺を呈した成人患者における動作を, 運動学的変数で表現する臨床研究が実施された. 上肢運動能力評価である Action Research Arm Testに対して, 「他人と共有されない場合のある主観的」運動学的変化を「多くの医療者間で共有されやすい客観的な運動学的変数」に置き代える試みは, 見込みのある結果に至った. 特に, 多軸加速度計を導入した動作分析的検討においては, 課題の種類によって医療者が注目すべき関節レベルの動きが明らかになった. これらの情報を臨床還元することで, エビデンスのある既存治療の効果をより明確に患者側に伝えることができるようになると考える.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究結果は、物品の操作課題に関連する運動要素が, 治療において重要な指標となり得ることを示している. 本研究は, 特に, 脳卒中後の腕や手のリハビリテーションの個別化医療の進展に寄与すると考える. それは, 個別の患者の運動機能状態に合わせた, 特定の運動要素に焦点を当てたリハビリテーション(個別にカスタマイズされたプログラム)を提供することにつながると考えるからである. その結果として, すでに確立されたエビデンスのある治療効果が最大化されて, 患者の生活の質が向上することにつながると考えられる. また, 特定の運動要素に焦点を当てた訓練機器やプログラムの開発が促進される可能性もある.
|