小学生児童における身体活動量が実行機能・学業成績に及ぼす影響の体系化

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K23274
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 鳥取 伸彬 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (80875948)
• 研究期間 (年度): 2020-09-11 – 2022-03-31
• キーワード: 3軸加速度計 / 身体活動量 / 実行機能 / 学業成績

研究実績の概要

世界的に児童の身体活動・運動不足が懸念されている。そのような状況下、近年の研究によって特定の運動が、脳機能の1つである実行機能及び学業成績の向上に有効であることが明らかとなってきた。一方、生活活動を含む身体活動量が実行機能・学業成績に及ぼす影響は一定の見解が得られていない。その理由として、身体活動量と実行機能・学業成績、メンタルヘルスの関係には体格や体力が媒介し、対象者の身体的特徴や調査方法によって結果が異なることが挙げられる。そのため、複数の因子を包括的に検討することが求められるが、詳細な因果関係を示した研究はない。そこで、本研究の目的は、小学生児童における身体活動量が実行機能・学業成績、メンタルヘルスに及ぼす影響について、媒介要因を含めて包括的に検討した上で明らかにすることである。

初年度である2020年度は、身体活動量と体力、メンタルヘルスとの関係性について検討した。その結果、座位行動時間と中強度以上活動時間がそれぞれ身体的well-beingと相関がみられた。また、3軸加速度計を用いた身体活動量と睡眠計測について小学校第四学年76名を対象に実施した。その結果、座位行動時間と入眠時間に正の相関関係が認められた。今後は、実行機能と学業成績との関連も含めて包括的に検討を行っていく。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う新体力テストと全国学力学習状況調査の中止により、大規模に現地調査を行うことが出来ていない。そのため、コホート調査の対象数が予定より少ない。しかし、本研究について既に倫理審査委員会にて承認を得ており、各測定方法については確立しているため、次年度は計画通りに進める準備は整っている。

今後の研究の推進方策

次年度は、新体力テストの結果を用いた上で、実行機能や学力に関して新たにデータを取得して分析を行う予定である。しかし、学力に関しては2019-2020年度の約3ヶ月間の全国一斉休校や臨時休校によって学習進捗度の地域・学校間差があるため、全国学力学習状況調査を用いて全対象者をまとめて解析することが困難であることが考えられる。そこで、学力については高度な知識を必要としない学力調査にて実施する。さらに、今後も新型コロナウイルス感染症が蔓延する可能性も踏まえ、身体活動量等について質問紙にて調査出来るように準備を整える。

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であった機器について1年間の試用が認められ、購入が翌年度となったため次年度使用額に繰り越しました。