研究課題/領域番号 |
20K23277
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
瀧口 述弘 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (20873277)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 疼痛 / 電気刺激 / 鎮痛 |
研究実績の概要 |
侵害刺激情報は身体内で抑制や促進されることで調整され,痛みを感じる.痛みを促通させる疼痛促通系と呼ばれる中枢神経系の機構があり,これらが亢進すると疼痛が強く感じる.これらに対して経皮的電気刺激(Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation: TENS)を実施し,効果が認められるかを検証することを本課題とする. 研究1:痛みを促通させる現象として,wind up現象がある.wind up現象とは,侵害刺激情報が末梢神経から一定の頻度以上で繰り返し脊髄後角に入力されると,脊髄後角の興奮性が上昇し,痛みを強く感じる現象である.このwind up現象を実験的に生じさせる方法としてTemporal summation(TS)がある.また,疼痛の程度を生理学的,客観的に測定できると報告されている侵害屈曲反射(Nociceptive Flexion Reflex: NFR)という測定方法があり,NFRを用いたTSであるTS-NFRを用いれば,生理学的で客観的なTSが測定可能である.TS-NFRをTENSで抑制することができれば,疼痛が促通されている患者に対してもTENSが効果的な可能性がある.TS-NFRを測定するための筋電図装置を購入し,予備的実験を繰り返し,電気刺激パラメータ,安定した筋電図の測定,対象者の姿勢,実験の手順を確立した.現在,倫理委員会に資料を提出しており,承認が得られれば,健常者を対象に本実験を開始する予定である. 研究2: 疼痛が生じている症例に対して,疼痛感受性の程度を測定して,TENSの効果判定を実施する.疼痛感受性の程度はQuantitative sensory testing(QST)という感覚検査を用いて評価する.現在,QSTに必要な装置を検証しており,同時に予備実験を実施している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大予防対策の影響を受け,予備的実験での被検者募集に遅れが生じており,研究1に遅れが生じている.今後も,新型コロナウイルス感染拡大状況によっては,本実験の被検者募集に遅れが生じる可能性がある.研究2は疼痛感受性測定に必要な機材が揃えば,研究を開始することができる.しかし,新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては,被検者の募集が遅れる可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
研究1,2ともに新型コロナウイルス感染拡大状況に合わせて,研究を進めていく. 研究1は倫理委員会承認後,データ測定を開始できる. 研究2はQSTの機器がすべて揃えば,測定信頼性を高めるための予備的実験を開始し,級内相関係数を求める.その後,倫理委員会に承認を得た後に,疼痛患者に対して実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究1の評価測定項目であるTS-NFRを安定して測定するためには,対象者の姿勢を固定する椅子が必要になることが予備的実験でわかった.この椅子を次年度で購入する必要がある.
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