疼痛患者と健常人に対して疼痛促通システムに対する電気刺激療法の効果を検証した。 疼痛患者に対しては、定量的感覚検査法をいう手法を用いて、疼痛促通システムを含む疼痛病態分析を実施し、電気刺激療法の効果を検証した。定量的感覚検査法は、Reimer(Pain Rep. 2020)らが報告している簡易版定量的感覚検査法を用いた。この方法であれば、患者負担が少なく、疼痛促通システムを始めとする疼痛病態分析を実施できる。その結果、疼痛患者それぞれに異なる疼痛病態を示し、疼痛促通システムの亢進は他の疼痛病態と伴い、電気刺激療法の鎮痛効果に影響を及ぼすことが示唆された。 健常人に対しては、Temporal summation of nociceptive flexion reflexという神経生理学的手法を用いて、疼痛促通システムを評価し、電気刺激療法の効果を検証した。Temporal summation of nociceptive flexion reflexとは、 nociceptive flexion reflexを連続的に生じさせて、増幅する程度を指標とすることで、疼痛促通システムを生理学的かつ客観的に評価できる検査法である。電気刺激療法は、従来の電気刺激療法から発展させた高強度の電気刺激を用いた。その結果、電気刺激療法は疼痛促通システムを抑制させることができなかった。この結果は、Neuroscience Letters誌(High Intensity-Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation Does Not Inhibit Temporal Summation of the Nociceptive Flexion Reflex)に掲載された。
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