本研究は人工関節置換術後の患者を対象に、退院後の外来通院でのリハビリテーションに加え、タブレットとwebアプリケーションを用いた、遠隔リハビリテーション(Telerehabilitation: 以下テレリハ)を行い、実用可能性とその効果を検討した。対象は2021年4月から2022年4月までに共同研究施設にて股あるいは膝関節の人工関節置換術を受け、術後8週間の追跡が可能であった50歳以上の人とした。メインアウトカムは、国際機能分類(以下ICF)の活動・参加より本人と療法士が共有した目標をGoal Attainment Scaling(以下GAS)でスコア化したものとした。退院から術後8週目まで追跡可能であった28名が対象となった。研究期間中に貸与したタブレットに破損や紛失はなく、共同研究者が作成したwebアプリケーションも大きな問題なく作動した。メインアウトカムのGASの中央値は+1で、人工膝関節置換術後のICF活動・参加レベルの推移を観察した先行研究と比較して良好な結果であった。またwebアプリケーションに関しては、先行研究と比較して費用面や運動の継続率が良好であった。本研究の結果より、本邦における下肢人工関節置換術後患者において、退院後に遠隔リハビリテーションの実施可能性が示唆された。また今後は、対照群を設けたテレリハの効果の検討や多施設共同研究での一般化可能性の検討が必要であると考える。
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