研究実績の概要 |
本邦で増加する慢性腎臓病は高い疾病罹患率・死亡率と関連しており、公衆衛生上極めて重要な問題である。これまでに慢性腎臓病のリスク因子としては糖尿病や高血圧、肥満、喫煙が関与することが明らかにされてきたが、身体不活動も新たな危険因子として注目されるようになってきた。しかしながら、身体活動量と慢性腎臓病との関連を調査した大規模な疫学研究でのエビデンスは乏しい。また、労働人口では、余暇、仕事中、通勤中など、様々な場面で身体活動を行う機会があるが、それぞれの身体活動区分における活動量の高低と慢性腎臓病の発症リスクの関連性は未解明である。本研究では、一般労働集団における、余暇、仕事中、通勤時のそれぞれの身体活動量と慢性腎臓病の発症リスクとの関連性を大規模な職域コホート研究(J-ECOH Study)を用いて明らかにすることを主目的としている。初年度にあたる令和2年度は、当初の計画通り、余暇、仕事中、通勤時のそれぞれの身体活動量と慢性腎臓病との関連について日本の労働者約17,000名を対象として検証をおこなった。令和2年度に国際学会にて本研究成果を発表する計画があったが、新型コロナウイルスによる影響で学会が延期となった。一方で、本成果については英語論文としてまとめ上げ、現在査読付き英文誌へ投稿中である。
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