研究実績の概要 |
「疲労大国」と称される我が国では,3人に1人の子どもが疲労を訴えている.申請者らは,疲労感の軽減には,学校での授業中に「立位活動を増加させる」こ とが有用であることを確認してきた.しかしながら,対象者が限られている,どの程度立位活動を組み込むことが有効であるかは不明といった課題があった.その ため,本研究は,2020年度には「立位活動を組み込む授業がどの年齢の子どもであっても疲労感を軽減するか」,2021年度には「どの年齢の子どもでも疲労感が 軽減するのなら立位活動の至適量はどの程度か」を明らかにし,その成果をもとに,子どもの疲労感を軽減する方策として授業中に「立ち上がる」ことを学校現場へ提案することを目的としていた. 2020年度には,小学1,3,5年生を対象として「立位活動を組み込む授業は小学生であっても疲労感を軽減できるか?」について調査し,データ分析を実施予定であったが,新型コロナウィルス感染拡大の影響により,調査が実施できなかった.他方で,2021年度に実施予定となっていた「疲労感の軽減にはどんな立位活動がどの程度必要か?」については中学1年生130名を対象に2021年3月に規模を縮小して調査を実施することができた.その調査で得られたデータは,分析をしたうえで関連学会にて発表した. 2022年度以降,新型コロナウィルスの影響が,収束していき,2023年度には2020年度に実施予定であった調査(「立位活動を組み込む授業は小学生であっても疲労感を軽減できるか?」)を実施した.データ分析を行なった結果,立位活動を組み込む授業は,授業中の座位行動を8%減少させた一方で,疲労感を軽減することはなかった.介入後に行なった調査では,男女とも70%の者が「普段の授業中にからだを動かしたい」と回答し,女子よりも男子で「継続してからだを動かした授業をうけたい」と回答した.
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