研究課題
踵腓靭帯(CFL)には、腓骨長軸に対して0度から90度までの走行角度のバリエーションが報告されており、この形態的多様性は機能に影響することが示唆されている。本研究では、解剖体、伸縮性ひずみセンサ、および慣性センサを用いて、定量的かつ精密なCFLの機能解析を実施した。解剖体20体から40肢の下腿と足部の標本を作製し、周辺組織と分離してCFLを剖出した後、CFL長軸と腓骨長軸の成す角度を計測した。次に、足関節・足部の関節角度を3つの運動方向(底屈/背屈、内がえし/外がえし、内旋/外旋)にて精密に評価するため、標本に慣性センサを設置した。また、CFLに生じる伸縮を定量的に計測するため、CFLの腓骨下端付着部および踵骨付着部の直上に伸縮性ひずみセンサを貼付した。これらのセンサを用いることにより、標本の関節角度変化に伴ったCFLの伸縮を静電容量値の変動にて計測した。その際、標本の十分な関節可動域の確保には、三角靭帯の一部や後距腓靭帯を含む周辺組織の切離が必要であった。そのため、当初の計画を一部変更し、標本のアライメント維持を図りながら、底屈30度~背屈20度、内がえし10度~外がえし10度、および内旋10度~内外旋0度の範囲にて計測を実施した。各関節角度にて計測された静電容量値は、ニュートラルポジションの値にて正規化して解析した。本研究の結果から、CFLの走行角度の違い(15度~60度)により、靭帯に伸張と弛緩をもたらす肢位に個体差が存在することが確認されただけではなく、伸縮の程度を示唆する詳細な静電容量値の変化が明らかとなった。
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