研究課題/領域番号 |
20K23310
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
図子 あまね 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (70878173)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 下肢筋力・パワー / 関節力学量 / 測定評価 |
研究実績の概要 |
本研究では、女性アスリートの下肢筋力・パワー発揮特性を考慮した評価法を開発することを目的とした。まず、研究課題1-①では、女性アスリートのパフォーマンス変数(リバウンドジャンプ指数、跳躍高、接地時間)と下肢3関節の力学量(関節トルク、パワー、仕事)の関係および男性アスリートの知見との相違点や類似点を検討した。球技(バスケットボール20名、バレーボール15名、サッカー31名)の合計66名の女性アスリートに対してリバウンドジャンプテストを実施し、パフォーマンス変数と関節力学量を入手した。そのデータを申請者が既に入手していた88名のデータに加えることで、154名のパフォーマンス変数と関節力学量を用いて、下肢筋力・パワー発揮特性に関する女性アスリートの特徴を検討した。その結果、男性アスリートは、リバウンドジャンプの跳躍高と接地時間の間に有意な関係性が認められない特徴があることに対して、女性アスリートでは認められたことから、リバウンドジャンプ指数の構成要因間の関係性に相違がある可能性が示された。次に、関節力学量における男性アスリートと女性アスリートの特徴の類似点として、足関節の負のパワーがリバウンドジャンプ指数の獲得に対して最も強く関係していることが示された。一方、相違点として、リバウンドジャンプ指数に対してエキセントリック局面における膝関節トルクが有意に関係していること示された。これらに加えて、研究課題1-②では、154名の女性アスリートのデータを基に、種目ごとに基準値と得点表を作成することによって、既存のカルテに反映可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題1について、女性アスリートのリバウンドジャンプデータについて150名程度を追加する予定であったが,66名を追加した段階である。研究課題1の実験については、新型コロナウイルスの関係で予定通りの実施ができず、遅れている現状にあるが、実験環境の整備や実験対象者のリクルートは終えている状態であるため、追加できるデータを踏まえて揃っているデータを用いてガイドラインの作成を行う。研究課題2の実験についても研究課題1の実験と並行して実施し、定期的なトレーニング実践において、リバウンドジャンプテストを定期的に実施し、実践手順や留意点などを収集していく。研究課題1に対する研究結果および関連研究の成果は、International Conference of Biomechanics in Sports Annual Conference, Canberra, 2021において発表予定、体育学研究,2021において受理済みである。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題2について、実験対象者のリクルートは終えており、定期的なリバウンドジャンプテストの実施を開始している状況である。研究課題1で明らかにした評価観点と得点表を用いて、アスリート個々の下肢筋力・パワー発揮能力を評価し、評価結果からトレーニング課題を抽出し、その課題を改善するためのトレーニング内容を考え、実施する。このような、評価・計画・実施のサイクルを繰り返す中で、本評価法を運用するための実施手順や留意点を整理し、まとめる。ただし、新型コロナウイルスの影響によって実験が困難になることを考慮し、予定が変更する可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴って、当初の計画よりも実験が実施できず、実験実施時に使用する消耗品にかかる費用が予想に反して少なくなった。よって、発生した次年度使用額については、研究課題の成果発表における論文執筆時の英文校正費や掲載料に充てる予定である。 また、本年度の予算については、予定通り物品費やその他の費用として使用する。一方、旅費に充てる予定である費用については、現在、参加予定である学会がオンライン開催になっているため、その他使用方法について変更する可能性がある。
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