研究課題/領域番号 |
20K23340
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小椎尾 侑多 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (30886065)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ヒューマノイド / 物体運搬 / 適応移動計画 / 安定化制御 |
研究実績の概要 |
本研究は,足場が限られるような複雑環境において,ヒューマノイドによる台車や作業用一輪車などの道具を用いた安定運搬を実現することを目的としている.先行研究では,足場が限られた環境として飛石環境における即時歩容生成による安定移動を実現した.しかし,足場環境は既知もしくは色認識などの簡単な認識により得ており,様々な物体が存在する実環境では適用困難であった.そこで,本年度はリアルタイム環境認識に取り組んだ.環境点群の幾何情報から足場を多面体の集合として認識した後,着地可能な凸包集合へ分割することで未知環境における高速な足場適応が可能となった. また,進行できていないスタック状態を検知できるようにしたことで,初見の環境において実際には踏破不可能であった場合にも,環境の踏破性を更新し記憶することで,通過可能な移動経路を再計画できるようになった.この学習過程において未知外乱を受けるため安定化制御が重要となるが,上記の即時歩容生成により対応できることを実機実験により確認した.踏破性は抱え運搬や台車押し運搬など運搬状況によって変わるため,運搬状況に応じて踏破性を記憶することとした. 以上のシステムを等身大ヒューマノイドによるシミュレーションおよび実機実験により検証した.実機実験では,段差および飛石がある環境において,歩行中のロボットに人間が押すことにより外乱を加えた場合も,足場を適切に選んで踏みかえることで転倒を回避できることを確認した.また,同様の環境で与えたゴール地点まで一輪車を押し進むことができることも確認した.これらの内容の一部は,国際学会オプション付きレター1件および国内学会1件で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた,形状情報を用いた周辺環境のオンライン認識を実装し,未知環境における一輪車押し操作を実現できた.一方,多様な運搬物による実機実験検証と多様な足場に対応するための足場物体認識法が不足しているものの,次年度予定していた踏破性のオンライン更新法の実装が完了したため,進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,コンクリートや水などの足場の物体認識法を明らかにし,多様な物体および環境を用いて適応運搬移動手法の実機実験による検証を行う.また,ゴール位置の指定のみなど簡易な指令のみで物体運搬が可能となるシステムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により,多様な環境における実機実験が満足に行えず,また,学会発表への投稿を次年度に延期したものもあったため,当初の計画より本年度の使用額が少なくなった. 次年度は不整地環境として,段差や溝,スロープ,泥などの設備を整える.また,運搬物体として多用な台車や籠などを準備する予定である. さらに次年度に当初予定していた通り,実用的な実験を行うための,ロボットの改良および修理,その他屋外実験用品に使用する. 本年度の一部と次年度の成果はジャーナルおよび口頭発表により報告予定である.
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