研究課題/領域番号 |
20K23344
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
酒井 和紀 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教(常勤) (80879445)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 対話ロボット / 集団推薦 / 選好モデル / 議論システム / 複数人対話システム |
研究実績の概要 |
本研究では,集団を同時に相手取る機能を持たせた複数ロボット議論システムを用いて,納得感の高い集団推薦を実現することを目的としている.これを実現するため,集団を考慮した多様な観点を含む選好モデルに基づいた集団推薦機能の開発に取り組む必要がある.本年度は,多様な観点を含む選好モデルについての検討を行った.具体的には,食べ物や店舗名,趣味,映画など,人の好みが現れるであろう様々な話題について,詳細な項目をリストアップした.例えば,食べ物でハンバーガーやフライドポテト,趣味だとランニングや釣りといった項目である.これらについて,すべて含んだ一つの選好モデルをmatrix factorizationという手法にて作成を試みた.また,これらの選好から人の性格について分類できるかについても検討するため,人の性格を測定する尺度であるBig Fiveを追加した.このモデルを用いて,複数のロボットを用いて一定時間対話が可能な対話システムの開発を行った.これは,複数の観点を含む選好モデルが,一定程度の対話体験を提供できることを示している.また複数の観点を考慮した推薦ができる可能性があることを示している.一方で,選好モデルを用いた際にどのように対話を進めていくべきかという対話戦略についても検討を行った.ガウス過程回帰という推定手法を用いて人の選好から,まだ選好が未知の項目について推定し,その結果を用いてロボットが質問する項目と,その確信度について言及したときの印象について評価した.その結果,ロボットが主観的に,つまりロボット自身が自分の考えで考えているように見せることで,より理解能力が改善しているようにみえることが分かった.この成果は,推薦を行ううえで,とるべき対話戦略の重要な設計指針となりえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,様々な観点を含む選好モデルの構築を目標としていた.これについて,実際に選好モデルの構築を行った.その結果,選好モデルの作成や運用に関して課題も残っているが,目的とする推薦システムへの適用可能性が分かった.またこの選好モデルをベースとした対話戦略についても検討できた.複数の人を相手取る機能のための行動認識システムについても着手を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
複数の人を相手取る機能の実装の完成を目指す.またこれを用いて,商業施設での集団推薦についても取り組む.実施にはコロナウイルスの感染状況を鑑みて,十分対策を講じたうえで取り組む.実環境下での実施が困難であると判断された場合には,オンラインでの実験を行える環境を整える予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ状況下において,予定していた実験や旅費の使用がなくなったため.次年度では,データ収集や,システム開発に必要な機器の購入にあてる予定である.
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