研究実績の概要 |
環境残留性に加え、遺伝子損傷性を有するペルおよびポリフルオロアルキル物質(PFASs)は4,000種類以上存在し、地球規模で汚染が拡散している。特に航空関連施設周辺水域からのPFASsの検出事例が多く報告され、国際的な課題となっている。国内では、沖縄の消火活動訓練施設周辺に位置する浄水源から規制対象であるPFASsが検出され、ヒトへの健康影響も懸念されている。本研究では、標準物質の有無に依存しないPFASs網羅的半定量法の開発を目的とした。2020年11月に沖縄県の消火活動訓練施設周辺の比謝川流域における河川水および湧水を採取した。具体的に、本研究では、市販されているPFASs標準物質の情報をもとに、10種類のペルフルオロアルキル鎖長が4, 6, 8の消火剤関連PFASsをリスト化し、MRM条件を予想し、分析を行った。その結果、主にFASAsが検出され、ペルフルオロアルキル基の炭素鎖長がC4のFBSA, C6のFHxSA, C8のFOSAが検出された。次に、精密質量分析装置を用いてSuspect screening分析を行った結果、296種類のCompound groupsが検出された。さらに、本研究で採用したイオン化の性質上、カルボン酸の脱炭酸による出現するピークがいくつか存在するため、それらを除去した結果、145種類のCompound groupsが抽出された。その後、サンプルと比較して一定のエリア値以上でブランクサンプルから検出されたピークの除去を行った結果、120種類のCompound groupsが抽出された。その後、同定スコアが75%以上であるサンプルが3サンプル以上検出されたCompound groupsのみ選択を行った結果、81種類のCompound groupsが抽出された。
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