研究課題/領域番号 |
20K23371
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
日高 弥子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(情報エンジニアリングプログラム), 臨時研究補助員 (10871410)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 動物プランクトン / スキャナー画像 / 前処理 / 画像分類 / 深層学習 / 画像処理 |
研究実績の概要 |
本研究では、安価なスキャナで撮影した海洋動物プランクトンの画像をAIによって簡便かつ体系的に分析するための要素技術(深層学習モデル)を開発し実用性を評価することを目的としている。これにより、誰にでもできる動物プランクトン研究の手法確立の実行可能性について検討するためである。 本年の実施計画では、実験に使用する低価格スキャナの準備および比較を行い、対象機種を選定し、学習データの作成および画像の高解像度化のためのAI開発に着手する予定であった。 本年度の実績は下記の通りである。本研究費を用いて、3種類のスキャナーを購入し研究協力者の研究室内に設置した。各スキャナーの撮影範囲に合うように撮影用容器を自作し、各機種で、試験用の動物プランクトン標本を用いて実験に耐える画像サンプルが得られることを確認した。現在は、学習データの作成のための、画像サンプルの前処理に必要なコードの作成中である。深層学習による画像分類手法の調査を行い、本研究の分類対象であるスキャン画像に有効と思われる深層学習アーキテクチャについて選定を進めた。画像の高解像度化に必要な深層学習手法についてはすでに調査済みであるが、実際のテスト画像の結果と画像分類に用いる深層学習手法によっては画像の高解像度化が必要でない可能性も示唆されており、次年度の検討事項が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウィルス蔓延により、容易に研究協力者のもとを訪れることが難しく、標本のスキャンなどの決定的な作業が進んでいないため、遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請時の計画では、2020年度にスキャナーの選定と学習データ作成について実施する予定であり、さらに、その学習データを用い、AIによるプランクトン画像の高解像度化も計画していた。しかしながら、コロナウィルス蔓延が長引いているため、研究協力者のもとを頻繁に訪れることが難しく、学習データ作成に遅れが生じたため、計画全体的に遅れが生じた。したがって今後は、コロナウィルスの蔓延状況を考慮しつつも、定期的に研究が推進できるよう研究協力者と合意形成の上で具体的なマイルストーンを定めて研究を促進する必要がある。また、この先もプランクトン画像データの量産が難しい場合は、既存のプランクトン画像のデータベースなどを利用してAI開発に取り組むなど、柔軟に対応することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度には、テスト用画像データの収集や学会等での情報収集のための旅費、遠隔地で使用する可搬性の高いコンピュータの購入などを計画していた。しかし、コロナウィルスの蔓延によって、計画していた通りに使用しなかった。 2021年度では、まだ購入していないコンピュータの購入などを進める。また、利用しなかった旅費等は、開発予定のAIシステムの小型化や可搬性等の開発要素に関わる研究の充実を図るため、小型高性能GPU搭載のJetson開発者キットなどに使用する。
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