現状では動物プランクトンデータは、質・量とも十分とは言えず、動物プランクトンのデータ収集規模の拡大を講じる場合、現場での大量の試料・画像の取得や高い専門知識を要する類別作業を伴う点で課題がある。本研究では、市販されている安価なスキャナで得られた画像とAI技術を組み合わせる事で、低コストで個人のスキルに依存しないユニバーサルな動物プランクトンのデータ収集・分析手法を確立するためのフィージビリティスタディを行った。 本研究では、EPSON社のGT-X980、GT-S650、Canon社のCanoScan LiDE400で、動物プランクトンのフォルマリンサンプル(目合い330マイクロメーターメッシュのネットで採集)のスキャンテストを行い、価格や同解像度でのスキャンスピードの比較、画質の比較を行った。これにより、EPSON社のGT-S650を実用機として設定し、深層学習用の学習データセットを作成した。これらのデータを用い、MorphoClusterを用いた試験的な画像分類を行い、画像解像度がプランクトン画像の分類精度に影響することを明らかにした。また、独自の機械学習モデル作成に必要な開発環境を構築し、異なる深層学習アーキテクチャのモデル開発に取り組んだ。
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