研究課題/領域番号 |
20K23372
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北田 亮 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (50526027)
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研究分担者 |
小坂 浩隆 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70401966)
岡本 悠子 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (10635139)
金山 範明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (90719543)
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研究期間 (年度) |
2021-03-12 – 2024-03-31
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キーワード | 触覚 / 柔らかさ / 質感 / 情動 / 音象徴 |
研究実績の概要 |
本研究計画は、自閉スペクトラム者が触れ合いを嫌う原因を認知神経科学的に調べ、その影響を社会的認知能力と社会的ネットワークの点から明らかにすることを目的としている。初年度の成果は以下の3点である。(1)コロナ禍の影響により対面実験が難しいため、オンラインで可能な社会ネットワーク実験の準備を行い、データ採集用プログラム及び解析プログラムを開発した。さらに定型発達者を対象とした先行研究結果(Suvilehto et al., 2019)が再現できたため、ASDを対象とした実験を開始した。(2)柔らかさと心地よさに関する心理物理学実験の成果を論文として発表した。具体的には、定型発達者が最も心地よいと報告した物理的な柔らかさ(柔性)は平均として5-7mm/N(1cm2あたり)であり、これは人肌を1N-2Nで押したときの柔性と一致することを明らかにした (Kitada et al., 2021 Scientific Reports) 。この結果は、「触れ合いは快感情を引き起こすことで、親類を含む他者との紐帯を強め、社会的ネットワークを形成する一因になる」とする仮説を支持する。その一方で定型発達者内での自閉症傾向(Autistic Quotient(AQ)の得点)との相関は観察されなかった。参加者のAQ得点のばらつきが十分大きくないことが理由である可能性もあるため、自閉スペクトラム者を対象とした研究を行う。(3)素材の柔らかさ・硬さの回答で日本人は音象徴語を用いるが、定型発達者を対象とした実験で、硬さ・柔らかさに関する日本語の音象徴語は英語圏の人でも偶然の確率より高く知覚できることが分かった(Wong et al., 2021 Frontiers in Psychology)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の性質上、対面を想定した実験が多い。そのためコロナ禍の影響により実験の進捗がやや遅れている。その一方で実験が容易に実施可能になった場合に備えて、実験準備を整えつつオンライン実験を優先して行っている。そのため順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインで調査可能な社会ネットワークに関する実験を完了する。2022年度の前半に定型発達者を対象とした対面実験を実施し、結果に基づきASDと年齢などをマッチした定型発達者を対象とした実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため対面実験や県外出張が困難であったため、旅費を中心に次年度使用額が生じた。
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