研究課題/領域番号 |
20K23377
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
米原 圭祐 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (80510619)
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研究期間 (年度) |
2021-03-12 – 2024-03-31
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キーワード | 視覚情報処理 / 網膜双極細胞 / 方向選択性 / 神経回路発達 / 二光子イメージング |
研究実績の概要 |
視覚刺激の運動方向の検出は視覚機能の中でも最も重要な神経演算であり、餌や天敵の検知や自己運動の知覚などを可能にするため動物の生存にとって重要である。視覚刺激の運動方向に選択的に応答する方向選択性細胞は視覚情報処理の最初のステージである網膜で既に観察される。申請者は最近、網膜の方向選択性がこれまでの予想に反し、方向選択性細胞に興奮性入力を送る双極細胞の軸索末端シナプスで既に出現することを発見した。本提案ではこの軸索末端シナプスの方向選択性がいつどのように発達するのかを明らかにする。2021年10月1日から情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の教授として帰国し新たな研究室を立ち上げている。1年目の計画の通り、マウス網膜神経回路中の個々のシナプスの視覚刺激に対する活動を記録するための二光子イメージングシステムの構築を行なっている最中である。除振台の設置は終了し、二光子顕微鏡とレーザーは発注をし2022年6月中に納品される予定である。また、1年目の計画の通り、Type7ON型双極細胞のみを標識できるトランスジェニックマウスを新潟大学脳研究所との共同研究により作成し、遺伝研へマウスを搬入した。レポーターマウスとの交配をしてから組織学的解析を行う予定である。この研究によって、神経回路による感覚特徴抽出の戦略とその基盤となる発達機構が明らかになり、複雑かつ精緻な哺乳類中枢神経回路の機能発達の基本原理の生理学に基づいた観点からの理解が進む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の計画の通り、マウス網膜神経回路中の個々のシナプスの視覚刺激に対する活動を記録するための二光子イメージングシステムの構築を行なっている最中である。除振台の設置は終了し、二光子顕微鏡とレーザーは発注をし2022年6月中に納品される予定である。また、1年目の計画の通り、Type7ON型双極細胞のみを標識できるトランスジェニックマウスを新潟大学脳研究所との共同研究により作成し、遺伝研へマウスを搬入した。このように、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
二光子顕微鏡とレーザーが納品されたら組み立てを行い、さらに視覚刺激システムを作成して顕微鏡と組み合わせて設置する。摘出網膜から光応答をイメージングで記録できることを確かめる。イメージングシステムの設置が終了したら、摘出マウス網膜の双極細胞からのグルタミン酸イメージング実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品(二光子顕微鏡及び関連部品)の納期遅延により、次年度使用が生じた。また、米国からテクニシャンを雇用予定であったが、コロナの影響で入国できなかった。次年度に持ち越した額については、これらの物品の購入と人件費に充てる予定である。
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