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2021 年度 実施状況報告書

中国の芸術実践系大学において有効な「保存修復」教育の整備に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0003
研究機関東京藝術大学

研究代表者

荒井 経  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60361739)

研究分担者 國司 華子  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (70710763)
武田 裕子  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (60770154)
向井 大祐  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 講師 (40889135)
大和 あすか  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (30823752)
谷津 有紀  東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (20889208)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2026-03-31
キーワード保存修復 / 文化財保存 / 東洋絵画 / 書画 / 模写 / 中国画 / 日本画
研究実績の概要

昨年同様、コロナ禍中において研究活動の制限をやむなくされたが、時勢下でも可能な研究の推進に努めた。
本年度、最も重点を置いた課題は、中国の芸術実践系大学において保存修復の教育研究を行うにあたり有効な教本の編纂である。既に研究代表者ならびに研究分担者が所属する東京藝術大学大学院文化財保存学日本画研究室では、『日本画の伝統と継承』(2002年)、『日本画用語事典』(2007年)を出版し、国内の需要に応えて版を重ねているが、以後の研究環境の変化や国際関係の変化に鑑みて、中国の保存修復にも対応できる教本(仮題)『東洋絵画の保存・修復・模写ー芸術実践系大学における「文化財保存学」ー』として再編することとし、編纂を進めている。年度末時点での進捗は、原稿完成までの6割程度となっている。
また、カウンターパートである中国・広州美術学院大学美術館で開催予定となりながらもコロナ禍によって延期されている(仮称)〈東京藝術大学保存修復日本画研究室展〉に出品して教学に資するべく、当該研究室の大学院修了生が制作した模写の上げ写し図を購入し、展示と保存に適した処置を施した。本資料は、その後も中国、日本での教育に活用することができる。
研究分担者の研究においては、サテライト的な課題に取り組んだ。主な課題としては、脱酸素剤を使用した文化財の殺虫処置の実践、現在では製造されていない染料系色材の復刻などである。いずれも、教育現場への還元を視野に置いて進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、中国・広州美術学院をカウンターパートとした国際共同研究であるため、海外渡航が強く制限された本年度においては本質的な研究の推進を図ることが困難であった。
一方、国内において可能な保存修復の教本編纂や教育資料の収集など、今後の国際共同研究に活用していく資料の準備においては望ましい進捗が得られたものと評価している。

今後の研究の推進方策

コロナ禍による海外渡航の制限が継続している年度当初の状況に鑑み、上半期においては2021年度から取り組んでいる研究課題を引き続き推進する計画としている。主な研究課題は、中国での保存修復教育に活用するための教本(仮題)『東洋絵画の保存・修復・模写』の編纂作業である。当教本は、2022年度上半期中に日本語原稿を整え、下半期に中国語への翻訳に着手する計画である。
また、海外渡航が解禁されることを視野に、カウンターパートである中国・広州美術学院とのメールやオンラインツールによるコミュニケーションを密にし、対面交流での研究実践に備える。年度内に渡航が自由化された場合には、2023年度の交流事業に向けた予備的な渡航を行なう。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の渡航制限が継続したために、カンターパートである中国・広州美術学院への渡航ができず、国内で可能な部分の研究を進めた結果、差額として次年度使用額が生じた。次年度は、下半期に渡航しての交流を視野にして研究計画を立てるとともに、本年度までに実施してきた教本「東洋絵画の保存・修復・模写ー芸術実践系大学における「文化財保存学ー」」の編纂をはじめとする国内での準備的研究を推進し、実質的な国際共同研究の加速につなげる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 日本絵画中白色顔料的歴史和用途2021

    • 著者名/発表者名
      荒井経
    • 雑誌名

      2021中国伝統色彩学術年会論文集

      巻: 2021年 ページ: 210-219

    • 国際共著
  • [雑誌論文] 色材分析における予測と発見2021

    • 著者名/発表者名
      荒井経
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 230 ページ: 7-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 錦絵の緑・紫の混色表現における青色色材の変遷について2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 230 ページ: 179-214

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鳳凰堂昭和期復元扉絵「中品上生図」右扉の下地に関する科学調査2021

    • 著者名/発表者名
      大和あすか・荒井経
    • 雑誌名

      鳳翔学叢

      巻: 17 ページ: 264-270

  • [学会発表] 水戸偕楽園好文亭襖絵の保存修復-現地保存・活用保存への対応と課題2021

    • 著者名/発表者名
      荒井経・久下有貴・大和あすか・谷津有紀・寺門泰三・高島奈都美・松島志乃
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第43回大会

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公開日: 2022-12-28  

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