研究課題/領域番号 |
20KK0005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
ボイクマン 総子 (椙本総子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50370995)
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研究分担者 |
松下 達彦 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (00255259)
根本 愛子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80746701)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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キーワード | スピーキングテスト / プレースメント / 言語テスト / 第二言語習得 / 妥当性 / 信頼性 |
研究実績の概要 |
本研究は、海外の日本語教育機関においても使用できるよう、プレースメントのためのスピーキングテストであるSTAR (Speaking Test of ActiveReaction)のタスク(テスト問題)と判定ルーツ(ルーブリックと音声サンプル)を開発・改良することと、日本語以外の言語のプレースメントテストでも使用できるよう、多言語テストタスクと多言語判定ツールを開発・改良することである。 テストタスクとしては、難易度の異なる音読タスク5問、シャドーイングタスク5問、聞いた話を再話するタスク2問、絵描写タスク2問、状況対応タスク3問、意見述べタスク2問の計6種のタスクと17問の設問を開発した。それぞれのタスクのルーブリック(判定表)も開発し、改良を重ねている。また、国内外から受験できるよう、オンラインで受験できる受験サイトを作成し、現在までに約250名の受験者の受験データを収集した。そして、オンラインでも評価が行えるよう、判定サイトも構築した。 日本語教師と非日本語教師による判定実験を行った結果、状況対応タスクについては、妥当性と信頼性の高いテストタスクであることが多相ラッシュ分析により明らかになった。2023年度は特にシャドーイングタスクを中心に、判定実験を行い、分析考察した。シャドーイングタスクは、正聞話率と流暢さが測定できるタスクであること、そして、漢字・語彙・読解テストとは相関がなく、スピーキングテストと相関があることがわかった。このことから、レベル判定テストで、聞いた内容と同じ内容を口頭で再生する能力を測定するタスクとしてシャドーイングを採用することは、テストの使用目的に適していると言えることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的である、国内外の日本語教育機関においても使用できるよう、プレースメントのためのスピーキングテストであるSTAR (Speaking TestofActive Reaction)のタスク(テスト問題)と判定ルーツ(ルーブリックと音声サンプル)を開発・改良することについての研究は滞りなく進んでいる。しかし、目的の2つ目の、日本語以外の言語のプレースメントテストでも使用できるよう、多言語テストタスクと多言語判定ツールを開発・改良することについて、進捗に遅れが出ている。他言語については、それぞれの言語ですでに言語テストが充実していること、言語ごとにテスト開発事情が異なり、日本語を基にして作られたテストの参入は難しいためである。
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今後の研究の推進方策 |
プレースメントのためのスピーキングテストであるSTARのタスク(テスト問題)と判定ルーツ(ルーブリックと音声サンプル)を開発・改良することについては、引き続き、多相ラッシュ分析などによる分析を行うことで、その妥当性を検証していく。特にまだ判定実験を行なっていない、聞いた話を再話するタスク、絵描写タスク、意見述べタスクについて検証を行なっていく。日本語以外の言語のプレースメントテストでも使用できるよう、多言語テストタスクと多言語判定ツールを開発・改良することについては、計画を改め、日本語のスピーキングテストを開発・改良することに集中し、多言語化については、言語フリーのプレースメントテストの要件について検討することにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外渡航の一部を行わなかったため。次年度には海外渡航を行う予定である。
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