研究課題/領域番号 |
20KK0012
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
ボルジギン 呼斯勒 昭和女子大学, 国際学部, 教授 (40600193)
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研究分担者 |
松川 節 大谷大学, 社会学部, 教授 (60321064)
高井 龍 大谷大学, 文学部, 助教 (80711308)
二木 博史 東京外国語大学, その他部局等, 名誉教授 (90219072)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | チンギス・ハーンの長城 / モンゴル / 北東アジア / 国際共同研究 / 中国 / ロシア / アーカイブ / 基盤の創成 |
研究実績の概要 |
本研究は、多国、多分野にわたる豊かな経験を有する専門家の協力のもとで、歴史資料の収集と分析、及び現地での遺構の発掘調査の成果を基礎に、遼、西夏、金の諸帝国が築いた、多様な要素によって構成された「チンギス・ハーンの長城」における歴史的・社会的・文化的空間を、歴史学、文献学、考古学と博物館学によって解明し、再構築しようとするものである。 初年度は、コロナウイルスの感染拡大の影響で、研究代表者と研究分担者は現地調査を実施できなかったが、研究環境の整備、日本国内での資料収集と分析、初期的考察、成果の発表につとめた。 第一に、研究代表者と研究分担者は研究の打ち合わせをおこない、コロナウイルスの感染拡大の状況のなかで、研究プロジェクトを推進する方策を講じ、それぞれの課題を明確にした。第二に、研究代表者が国会図書館関西館などで資料調査を実施したほか、J.オランゴアなどはモンゴル国の文書館、図書館で資料を収集し、整理した。第三に、研究代表者と研究分担者、海外の共同研究者J.オランゴア、Ts.トゥメン、及び研究協力者Ch.アマルトゥブシン等が国際シンポジウム「チンギス・ハーンの長城――歴史、現状と遺産」(東京、2020年12月、対面とオンライン併用)にて、成果を発表した。 その成果は以下の通りである。第一に、「チンギス・ハーンの長城」の現状と世界各国の調査・研究の成果を整理し、今後の課題を明確にした(松川節、J.オランゴア、Ch.アマルトゥブシン、A.A.コヴァレフ、D.エルデネバータル、Ts.トゥメン)。第二に、「チチハル協定」といった国際条約の締結に、チンギス・ハーンの長城が再利用されていたことなどを指摘した(二木博史)。第三に地図を含むチンギス・ハーンの長城に関する史料と研究を初歩的に整理、検討し、関係諸国の人びとの同長城に対する認識は多岐にわたること、などを指摘した(ボルジギン・フスレ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度(初年度)には、研究代表者と研究分担者、海外の共同研究者、研究協力者はそれぞれの所在国(日本、モンゴル、ロシア、中国)での資料収集をすすめることができ、「シベリア地質図とその鉱物」(サンクトペテルブルク:鉱山局、1905年)など予想をこえた重要な史料を収集することができた。 研究代表者と研究分担者は、日本、モンゴル、ロシア、中国の研究者と意見を交換することができ、「チンギス・ハーンの長城」の現状と世界各国の調査・研究の成果を整理し、認識を深め、今後の課題を明確した。 また、研究代表者と研究分担者、海外の共同研究者、研究協力者が論文7本を執筆し、国際シンポジウム「チンギス・ハーンの長城――歴史、現状と遺産」で報告した。その成果は『モンゴルと東北アジア研究』第6号(「チンギス・ハーンの長城――歴史、現状と遺産」特集号)として公刊した。さらに、同成果は『日本モンゴル学会紀要』第51号(2021年)に紹介された。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究代表者と研究分担者が、研究目的に沿って、本研究テーマに関わる研究基盤の強化につとめる。 具体的には、2021年度に研究代表者と研究分担者は、モンゴル国ドルノド県、ヘンティー県と中国内モンゴル自治区フフホト市で現地調査をおこない、資料も収集する。モンゴル国の現地調査において、考古学研究の実績を蓄積してきたJ.オランゴア、Ts. トゥメン、N.エンフバヤル、U.エルデネバトを中心とするモンゴルの研究チームがチンギス・ハーンの長城の発掘をおこなうが、研究代表者ボルジギン・フスレと研究分担者二木博史、松川節、高井龍も加わり、その実態を明らかにする。中国内モンゴル自治区フルンボイル市などの地域での現地調査には、研究代表者と現地の共同研究者、研究協力者などが参加する。 研究代表者はまたロシアと台湾で現地調査を実施し、チンギス・ハーンの長城に関するモンゴル語、漢語、ロシア語などの文献を収集する。 なお、感染症危険情報の発出にともなって当該国への入国が制限される場合、本研究は研究環境を整備し、万全の対策を取る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、研究代表者と研究分担者の現地調査を延期せざるを得なかった。このため、次年度に旅費と発掘調査の費用として繰越使用することにしたものである。
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備考 |
日本モンゴル学会などのホームページでシンポジウムの情報が掲載された。
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