研究課題/領域番号 |
20KK0015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安岡 宏和 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20449292)
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研究分担者 |
本郷 峻 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定講師 (70797266)
平井 將公 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (80570845)
中島 啓裕 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80722420)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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キーワード | ヒト-動物-植物関係 / ランドシェアリング / マルチスピーシーズ歴史生態学 / 非木材森林産品 / メガファウナ |
研究実績の概要 |
2023年度は、これまでに得られていたデータ分析をすすめるとともに、研究代表者・分担者がカメルーンに渡航した機会に、カメルーンの研究協力者とともにデータ収集と分析をした。(1)生態学的方法によるゾウの分布パターンの把握については、カメラトラップの動画を分析し、ゾウの分布を推定する作業をすすめた。(2)住民の知識およびゾウとの遭遇経験をとおしたゾウ分布の変遷の把握については、ゾウをふくむ大型野生動物との遭遇経験についてインタビュー調査を実施した。現在、データ分析中である。(3)ゾウの不在による森林種構成の変化については、主にゾウによって種子散布される樹種の分布に、集落近くと集落から遠い地域で差があるかどうかを把握するために、植生調査を実施した。その結果、むしろ集落周辺にそのような樹種が多いという結果が得られており、人間による散布がなされている可能性があることがわかった。これは(5)ヒトによるNTFP 種(ゾウ散布種)の種子散布にかかわる結果でもある。(4)非木材森林産品(NTFP)種をめぐるゾウとヒトの競合度合いの把握については、現在、カメルーン東南部ではゾウの生息数が減少していることから、コンフリクトにはいたっていないことが確認された。(6)ゾウ散布とヒト散布による分布パターンの比較については、上記の植生調査の結果を分析しているところである。(7)ヒト-ゾウ隣人関係を軸とする生態史の記述については、これまでの研究成果をふまえて、生態史を記述するための方法論として「マルチスピーシーズ歴史生態学」を構想した。関連プロジェクトと連携しながら、日本側の研究代表者・研究分担者計3名、研究協力者の博士課程学生5名およびカメルーン博士課程学生11名がフィールドワークを実施し、その成果をふくめて、10報の論文、35報の学会報告、2編の図書出版をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度から2022年度半ばまで、コロナ禍のためフィールドワークが実施できなかった。2023年度には、関連するプロジェクトと連携しながら、おおむね予定どおりの調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度後半よりカメルーンへの渡航が正常化したので、2023年度は計画どおり実施できた。現在、カメルーンの研究機関とカメルーン東南部に新設した研究ステーションの共同運用計画の策定をすすめている。今後は、このステーションを活用しながら、カメルーンの研究協力者と連携して本研究を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、コロナ禍収束によりフィールドワークを再開できたが、現地研究者・学生によるフィールドワークが中心となった。日本側研究者(代表者・分担者、協力者)が別プロジェクトにて渡航したさいに(当該プロジェクトの用務時間外に)データ収集方法の共有、データ分析、研究打合わせ等をおこなうことで、効率的に研究を推進することができた。2024年度は、本プロジェクトによる渡航を積極的におこなうため、旅費の支出が増加する予定である。
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