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2023 年度 実施状況報告書

マレーシア・クラン川流域におけるマルチ・トレーサーによる地下水-地表水循環系解明

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0018
研究機関筑波大学

研究代表者

辻村 真貴  筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)

研究分担者 清水 和哉  東洋大学, 生命科学部, 教授 (10581613)
榊原 厚一  信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (40821799)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2025-03-31
キーワード河川 / 地下水 / 湧水 / 涵養域 / 流出域
研究実績の概要

2023年度は、7月末、9月上旬、および2月下旬の各季節において、フィールド調査を実施した。7月末、9月中旬は、相対的には乾燥期、2月下旬は相対的に湿潤期に相当する。フィールド調査は、昨年度まで対象としてきたマレーシアの首都クアラルンプールを含むクラン川流域に、今年度はクラン川の南に隣接し、政治的中心地のプトラジャヤを含むランガット川流域を加えて対象とした。両流域とも上流域は森林地、クラン川流域は中下流とも都市域、一方ランガット川流域は中下流において都市域、パーム・プランテーション等の農業地域が混在する。両流域において、河川、湧水、地下水のサンプリングを行い、すべての水試料に関し、無機溶存成分濃度および水素・酸素安定同位体比の分析を実施した。
その結果、両流域において、地質条件に顕著な違いがないものの、とくに下流域について河川と地下水の交流関係に顕著な違いのあることが示された。下流域の地形勾配は両流域においてほぼ同じであるが、ランガット川における下流域の塩素イオン濃度、および安定同位体比がクラン川におけるそれに比較し顕著に高い特徴が示された。このことは、ランガット川流域とクラン川流域において、地下水の流出域が異なることに起因しているものと考えられる。すなわち、クラン川流域においては下流域において地下水が流出するのに対し、ランガット川流域では、中流域において地下水が流出し湿地帯を形成しているものと判断された。
今後更に、異なる時期における水サンプリング、および地下水サンプリング地点の拡充等を行うことが課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初本研究では、クアラルンプールを通るクラン川流域を主たる対象にしていたが、昨年度までの観測・解析結果等を勘案し、今年度、南に隣接するランガット川流域も比較対象に加えた。このことにより、対象流域の特徴がより明確になるものと期待している。
昨年度までのクラン川流域の調査により、とくに下流域において地下水の流出が生じており、そのことが下流域の河川水に海水の影響がほとんどみられない特徴をもたらしていると判断された。こうした特徴は、従来の地下水水文学、同位体水文学の教科書的な知見を修正すべき知見を有しており、今後更なるデータの蓄積が必要である。以上の理由により、「概ね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

最終年度である2024年度は、研究対象地域であるクラン川流域の水文特性をより明確にするため、南側に隣接するランガット川流域も合わせて、河川、地下水、湧水等の水サンプリングを実施し、両流域における各水体の水素・酸素安定同位体比、および無機溶存成分濃度の空間分布、季節変化を明らかにする。その上で、両流域における地表水-地下水循環系、すなわち、涵養域、流動域、流出域を特定し、これらプロセスにおける地形、地表面被覆等の影響を評価する。さらに、熱帯湿潤域における地表水-地下水循環系に関わる一般則を明確にする。

次年度使用額が生じた理由

2023年度においては、フィールド調査等に係る費用が予定以上に生じたため、2024年度配分予定額から50万円を前倒しで配分要求を行い、認められた。2023年度末においてその中から数1000円が残ったため、次年度使用額として繰り越した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] マレーシア原子力機関/マレーシア国民大学/マラヤ大学(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      マレーシア原子力機関/マレーシア国民大学/マラヤ大学
  • [雑誌論文] Rainfall-runoff characteristics in a tropical forested catchment, Puchong, Selangor, Malaysia2023

    • 著者名/発表者名
      Saito Mariko、Tsujimura Maki、Nurhidayu Abu Bakar Siti
    • 雑誌名

      Hydrological Research Letters

      巻: 17 ページ: 28~35

    • DOI

      10.3178/hrl.17.28

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2024-12-25  

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