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2023 年度 実施状況報告書

パンデミック下での高齢者の保護と年齢差別

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0022
研究機関神奈川大学

研究代表者

関 ふ佐子  神奈川大学, 法学部, 教授 (30344526)

研究分担者 西森 利樹  熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30795860)
原田 啓一郎  駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
柳澤 武  名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
川久保 寛  北海道大学, 法学研究科, 准教授 (90706764)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2025-03-31
キーワードパンデミック / 高齢者法 / 保護と年齢差別 / 社会保障法 / 労働法
研究実績の概要

本国際共同研究が取り組む学術的な問いは、①高齢者の保護と年齢差別の関係をどうとらえるか、②新型コロナウイルス感染症といったパンデミック下で明らかになった、高齢者の保護と年齢差別をめぐる具体的な課題にどう取り組むかである。
2023年度も、第1に、各人が文献調査により上記の論点や課題を検討した。さらに、研究者と実務家が参加する高齢者法研究会において、研究成果を報告しあい現場の課題などへの解決方法を探り、また、招聘した多分野の研究者等と討議した。HP高齢者法Japanによる情報発信も随時行った<https://elderlawjapan.jp/report/>。
第2に、2024年度に研究者と実務家とで行う調査の下調べとして、2023年8月に、研究代表者の関がカリフォルニア州でCCRC(継続ケア型退職者コミュニティ)のPilgrim Placeと高齢者施設における高齢者の権利を擁護するNPOであるCANHR、弁護士2人とともに、ルイジアナ州で高齢者法の研究者や高齢者を擁護する弁護士事務所などを訪問した。Pilgrim Placeでは、いかにコミュニティが新型コロナウイルス対策とつながりの継続の双方を実現したのかを調査した。CANHRでは、新型コロナウイルスの発生とともにアメリカでもおきた施設における面会謝絶の問題について、一年後には面会権を求める運動を展開し、州のガイドラインの変更がなされたといった話を伺えた。ルイジアナ州では、高齢者の信託を中心とした聞き取り調査を実施した。
第3に、2024年3月にルンド大学法学部のTitti Mattsson教授をオンラインの研究会に招聘し、スウェーデンにおける高齢者法の現状やご専門のバルネラビリティについてご報告いただいた。スウェーデンにおける行き過ぎた自己決定の課題といった最新の問題についてお話を伺い、同時通訳入りで協議した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究グループの若手・中堅研究者や実務家を関がアメリカの研究者や実務家に紹介する実態調査の計画をもともとたてていたが、新型コロナウイルスによりその実施が遅れた。海外渡航が数年できないなか調査先の状況も変化したことから、海外渡航が可能となった2023年度は、研究グループによる本調査に向けた予備調査を研究代表者の関が行った。これにより、しっかりとした本調査を行うための準備を進めることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度もオンラインにより海外の研究者と行った意見交換が大変有意義であった。新型コロナウイルスの影響で海外の研究者も含めてオンライン(zoom利用)での研究会が身近となり、同時通訳者を介してのスムーズな討議の実現といったオンライン研究会の手法の蓄積は、本研究のような国際共同研究にとって貴重な財産となった。2024年度も、これまで蓄積したノウハウを生かし、海外の研究者との意見交換を進めたい。
2024年度は、2023年度の予備調査を踏まえ、若手・中堅研究者や実務家に海外の研究者や実務家と現地で交流する機会を創る予定であり、これが本年度の研究の中心となる。この他、主に文献調査という形で、2023年度と同様の形で日本と高齢社会先進国との比較法研究を進める。
また、2025年2月か3月には、高齢者法研究会におけるオンラインでの国際シンポジウムに、世界各国で高齢者法の重要な研究を進める数名の研究者を招聘予定である。他方で、円安もあり2024年度の本調査を行うためには、海外の研究者を数名日本に招聘する予算の余裕はなくなった。海外の研究者とは、パンデミックが鮮明にした各国の経験等をオンラインで討議するとともに、高齢者の保護と年齢差別の禁止をめぐる論点を検討する際に重要な原理的論点について、高齢者法の視角から討議していく。
2024年度も、これまでの研究を継続し、神奈川県高齢者福祉施設協議会と提携し、YNU成熟社会コンソーシアムと共同で、神奈川県域の老人ホームにおけるコロナの影響について分析する予定である。
この他、2023年度に引き続き多分野の研究者や実務家を研究会に招聘するほか、文献調査により本研究テーマに関する論点や課題を探っていく。2024年度も各人が研究成果を高齢者法研究会等で報告し討議を重ね公表していくほか、HPによる情報発信も随時行っていく。

次年度使用額が生じた理由

若手・中堅研究者や実務家を関がアメリカの高齢者法の研究者や実務家に紹介するとともに意見交換する調査を行うことが本研究の主たる目的の一つである。
この点、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から海外調査を数年間行えなかったため、調査先の状況も変わった。そこで、2023年度には予備調査を行い、2024年度に本調査を行うこととした。
本調査は数名の研究者と実務家とで実施し、円安もあり多額の経費が必要となるため、2024年度に予算を使用できるようにした。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (3件) 図書 (3件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 信託の活用を通じた資力が不十分な高齢者に対する成年後見2023

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      アドミニストレーション

      巻: 30‐2 ページ: 33‐52

  • [雑誌論文] 世帯員である重度知的障害者を虐待する弟を生活保護申請却下通知に同席させ定期預金の存在等を告知す ることは国賠法上違法であるとして原判決が変更された事例(福岡高宮崎支判令和4 年11 月9 日判例集未登載)2023

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      アドミニストレーション

      巻: 30‐1 ページ: 34‐48

  • [雑誌論文] 資力が不十分な高齢者に対する成年後見と信託の活用-フロリダ公的後見制度共同特別ニーズ信託を中心 としてー2023

    • 著者名/発表者名
      西森利樹
    • 雑誌名

      年金と経済

      巻: 42(1) ページ: 26‐33

  • [雑誌論文] 介護老人保健施設における介護支援専門員・支援相談員の説明義務2023

    • 著者名/発表者名
      川久保寛
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 74‐2 ページ: 357‐373

  • [雑誌論文] 健康保険法における被扶養者の認定と不服申立て2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 8‐3 ページ: 335‐337

  • [雑誌論文] 健康保険法189条1項の被保険者の資格に関する処分と被扶養者非該当通知2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 8‐3 ページ: 338‐345

  • [雑誌論文] 高齢者の住環境整備と社会保障2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 雑誌名

      週刊社会保障

      巻: 3214 ページ: 48‐53

  • [学会発表] 高齢者と信託・ルイジアナ現地調査報告2023

    • 著者名/発表者名
      関ふ佐子
    • 学会等名
      第62回高齢者法研究会
  • [学会発表] 労働者協同組合法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 学会等名
      日本労働法学会第140回大会
  • [学会発表] 医療保障とプライマリ・ケア2023

    • 著者名/発表者名
      原田啓一郎
    • 学会等名
      日本医事法学会第53回研究大会シンポジウム
  • [図書] 宮本太郎・西村淳編著『社会福祉学習双書2024 社会保障』2024

    • 著者名/発表者名
      川久保寛
    • 総ページ数
      333
    • 出版者
      全国社会福祉協議会
  • [図書] 「アメリカ労働者協同組合の組織化と全国労働関係法」武井寛ほか編『労働法の正義を求めて』2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 総ページ数
      984
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 「それってセクハラ?」「上手な休み方」柳澤武・三輪まどか編『大学生のための法的思考入門』2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤武
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      みらい
  • [備考] 高齢者法JAPAN

    • URL

      https://elderlawjapan.jp/

  • [学会・シンポジウム開催] 第65回高齢者法研究会2024

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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