研究課題/領域番号 |
20KK0028
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
石井 真一 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70315969)
|
研究分担者 |
高木 修一 富山大学, 学術研究部社会科学系, 講師 (00803462)
趙 怡純 尾道市立大学, 経済情報学部, 講師 (50844073)
下野 由貴 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (20379473)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
|
キーワード | 国際経営 / 脱グローバル化 |
研究実績の概要 |
令和3(2021)年度における研究活動では、前年から引き続いて新型コロナ感染症の世界的流行のために、共同研究者との間で、国内・海外における企業訪問調査、研究調査の打ち合わせおよび学会・研究会での研究発表の実施は非常に大きな制約を受けた。このためこれまで長年蓄積したインタビューデータの再検討を前年に引き続いて実施し、また遠隔技術を活用して、企業の国内・海外拠点ビジネスパーソンに対するインタビュー調査、共同研究者間の打ち合わせ、学会および論文・書籍での研究発表を実施した。とくに、新型コロナ感染症の流行のため、昨年度に引き続いて予定していた海外調査・打ち合わせ、国内調査を中止せざるを得なかったものの、このことは遠隔対応による国内・海外の企業調査の導入にもつながった面もある。今後はこれらの遠隔対応も取り入れながら、調査活動および研究発表を慎重に対応していく予定である。 また、研究活動では、製企業の機密事項を含めた開発活動を分析する観点から、調査データの処理・蓄積・公表を慎重に実施した。調査内容の公表に際しては、調査先企業との共同確認作業や、公表データを活用した形での事例分析の検討等、調査内容の正確性を確保しつつ、調査内容の公表が対象企業に不利益をもたらすことのないような調査研究の方法を取り入れている。また、本研究ではインタビュー等のデータの文書化・管理等を研究代表者が直接行った。これらの研究上の方針・手法はこれまですでに実施してきたものである。なお、本研究の方針・手法は、企業活動の歴史的経緯を丹念に解明する研究アプローチに適しており、さらに研究経費の抑制の点等でも有効であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、脱グローバル化期における企業行動について国際共同による調査研究を行うことを主眼とするが、同時に、若手研究者の国際的な共同研究の経験の蓄積と研究成果の発信というミッションも有している。これらの目的に向けた調査研究および準備作業を進めてきた。まず、データ分析の中心となるインタビュー調査においては、自動車企業を中心とした国内外の製造企業の事業拠点の人々にインタビュー調査を実施した。新型感染症の流行以降には対面での訪問調査や学会発表などが制限されている中、これまで中心におこなった自動車企業関係者へのインタビューとあわせて、国内・海外の製造企業の代表者や役員等に対するインタビューを主に遠隔で実施した。とくに遠隔での企業調査については、調査先企業の訪問を通じた訪問先の事業活動の観察を含めた調査対象者との対面によるインタビューを重視する観点から、当初は実施の予定がなかった。新型感染症の流行によってやむを得ず遠隔による調査を実施した面がある。しかし、遠隔であれば海外企業への調査も低い予算で同時に多くの人数で実施できる等のメリットが大きいこともわかり、今後は積極的に取り入れていく予定である。また、これまでに収集したデータの再検討や、それらを元に理論構築および学会発表等を通じて、さらなる調査と理論構築を進めている。その成果の一部については、論文、書籍、学会発表等ですでに公表している。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、新型コロナ感染症をきっかけに幅広く導入されている遠隔技術なども積極的に活用しながら、訪問調査、打ち合わせ、研究発表をさらに推進していく。2022年度に英語による研究発表の準備を研究メンバーが進めており、コロナ渦の中でも着実に研究を発信し、また他の研究者とのやり取りの中でさらに研究内容を発展させていく予定である。また、企業訪問によるインタビュー調査や共同研究者間の打ち合わせ、学会・研究会への参加については、対面で実施できるような社会状況となった場合は、新型感染症の流行状況にも十分に留意しながら、慎重に国内・海外で実施することを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は国内外で深刻化したコロナ感染症により、当初の主目的であった海外での研究調査活動だけでなく、国内を含めたほぼすべての移動がほとんど実施できないという事態が前年度から続いた。このような中で、本研究の柱となっている国内外の出張を伴う調査研究は2022年度にコロナ感染症の終息を見計らったうえで実施し、当面は今後の国内外の調査研究に向けて、データ収集・分析や理論検討、論文執筆等を主に実施する方針に転換している。とくに2021年度は前年度から継続した350名以上のビジネスパーソンンに対するすべてのインタビュー調査データの再検討を終えて、本研究の事例分析や理論検討に反映させる準備作業を進めた。 また、企業等への直接訪問が困難になった状況のもとで、遠隔技術等を利用した新たな訪問調査も導入している。2022年度も当面はコロナ感染症の影響が続くことが予想されることから、このような状況下でも実施できる本研究の調査研究や研究討議・発表等の機会も積極的に検討していく予定である。 コロナ感染症の世界的な流行のもとでも実施することができる、さまざまな技術・手法・分析を駆使した調査研究を進めることで、コロナ渦終息後に実施する海外研究調査へと発展させ、その段階で未使用予算を有効活用していく予定である。
|