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2022 年度 実施状況報告書

東南アジアにおける「オールハザード型」防災対策枠組構築のための共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0037
研究機関東北大学

研究代表者

泉 貴子  東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00790354)

研究分担者 安部 美和  東海大学, 文理融合学部, 特任准教授 (40619805)
藤田 久美子  特定非営利活動法人 国際斜面災害研究機構, 執行部, 研究推進員 (00637069)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2025-03-31
キーワードオールハザード / マルチハザード / 災害リスク / 東南アジア / Natech
研究実績の概要

本研究では、自然・生物・化学・産業災害などのあらゆる災害リスク管理を視野にいれた「オールハザード(全災害適応)型」防災対策の 枠組構築を、インドネシアとマレーシアにおいて試みるとともに、それらを東南アジア地域の防災モデルケース として検証・発展させることを目的とする。昨年までの新型コロナ感染拡大の影響により、国際共同研究を予定していたインドネシアやマレーシアの大学との合同調査や研究の遂行が難しく、オンラインでの意見交換や日本国内での調査活動などを行ってきた。昨年度に、書籍「All-hazards approach」をSpringerから出版する計画をたて、現在、執筆いただいている国内外の専門家から原稿を集め、確認・編集作業をすすめている。この中には、これまでの災害リスクをより包括的な意味での災害リスクと捉え、サイバーセキュリティ、気候変動に関するリスク、プラネタリーヘルスなど、様々な災害リスクへの備え・対応について考察する。この書籍は2023年度中に発刊予定である。また、ハワイ大学において2023年2月に「Localizing disaster risk reduction strategies in Asia and the Pacific」と題したワークショップを開催し、その中で「All-hazards approach」に関するセッションを企画・運営した。セッションでは、ニュージーランド・オーストラリア・インドネシアにおける事例を発表いただき、今後、東南アジアで「All-hazards approach」を実践していく上で、大変参考になった。今後は、日本を含めた東南アジアの地域で、このような事例研究をすすめ、実践のために何が必要か、また、このアプローチを採用したことによって、いかにこれまでの防災対策が強化されたのかなどについて分析をすすめていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染の影響により、本格的な海外調査・研究は制限され、これまでは国内の事例研究、海外からオンライン参加を含む国内研究者を中心とする対面形式のワークショップ、Springer社から「All-hazards approach(AHA)」の書籍出版の準備などを実施した。ようやく2023年の2月にハワイ大学と共同で「Localizing disaster risk reduction in Asia and the Pacific」と題したワークショップを対面形式で開催することができ、その中で「All-hazards approach」に関するセッションを企画・運営した。同時に、「All-hazards approach」に関するLiterature reviewも行った。これまで、AHAは特に欧米において用いられてきたが、その定義は様々で共通認識に欠けていた。Literature reviewを通して、本研究においてはAHAを以下のような意味でとらえることとする:1)様々な災害リスク管理を行う際に、その過程における共通項目(早期警報、リスクコミュニケーション、リスクアセスメントなど)を見つけ、すべての災害に共通する対応計画を検討する、2)将来起こりえる災害としてあらゆる災害を除外しない、3)あらゆる災害を対象としたアセスメントを行ったうえで、最もリスクの高い災害を認識することができる、4)偏った防災対策を防ぐことに貢献するものである。

今後の研究の推進方策

まずは、Springer社から出版予定の書籍「All-hazards approach(AHA)」を完成させ、年内の出版を目指す。この書籍に執筆・投稿いただいた異なる災害の専門家を招待し、2023年度にワークショップを開催したいと考えている。ワークショップでは、それぞれの災害に対する備え・対応策を共有し、どの分野をあらゆる災害リスク管理の共通項ととらえ、AHAの枠組を構築できるかなどについて議論する。また、様々な国におけるAHAの事例なども発表いただき、意見交換を実施する。現在は、オーストラリアやインドネシアでも事例研究が可能となると考えており、こうした国々において現地調査や現地大学との共同研究も始めたい考えている。この中から、AHA実践について可能と考え得られる枠組などを抽出し、災害が非常に多いアジア地域での防災対策モデル構築について検証し、論文としてまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染拡大の影響により、海外調査・研究を実施するための渡航が制限された。今年度は、海外調査・研究をより活発に実施し、海外からの研究者を招いた国際ワークショップを開催したいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] ハワイ大学/Pacific Disaster Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ハワイ大学/Pacific Disaster Center
  • [国際共同研究] チャールズダーウィン大学(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      チャールズダーウィン大学
  • [学会発表] All-hazards approach2023

    • 著者名/発表者名
      Takako Izumi
    • 学会等名
      APRU Multi-hazards workshop
    • 国際学会
  • [学会発表] Role of universities to strengthen regional cooperation mechanisms to address systemic and cascading risks2022

    • 著者名/発表者名
      Takako Izumi
    • 学会等名
      UNESCAP Expert Meeting on Pacific Perspecitves 2022 "Accelerating Climate Action"
    • 招待講演
  • [図書] Safety and Resilience of Higher Educational Institutions2022

    • 著者名/発表者名
      Takako Izumi, Indrajit Pal, Rajib Shaw
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-19-1193-4

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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