研究課題/領域番号 |
20KK0037
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
泉 貴子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00790354)
|
研究分担者 |
安部 美和 東海大学, 文理融合学部, 特任准教授 (40619805)
藤田 久美子 特定非営利活動法人 国際斜面災害研究機構, 執行部, 研究推進員 (00637069)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
|
キーワード | All-hazards approach / Risk assessment / Disaster risk reduction / Disaster risk management / Natech / Environmental hazard / Natural hazard |
研究実績の概要 |
「オールハザード型防災」について、様々な災害リスクに関する準備や対応について事例を集めた書籍をエルセビア社より出版することになっており、2023年度は、その書籍のための原稿執筆・査読・編集作業を行った。出版は2024年7~8月ごろを予定している。この書籍は18章からなっており、自然災害のみならずCBRN, サイバーセキュリティ、ヘルスなど様々な災害リスクにどのように備え、対処すべきかについて学べるようになっいる。 また、インドネシアにおいて、「オールハザード型防災」を西ジャワ州のガルートにおいて実施することになった。そのために、ガルートを管轄する知事やガルートのBPBD(地方防災局)から協力を得て、最初の打ち合わせを2023年の9月に行い、その後のワークショップと実施計画をたてた。ガルート州は地震、津波、洪水、火山噴火、干ばつなど様々な自然災害リスクを抱えていると同時に、革製品などの工場が多く環境面でのリスクも存在する。さらに近年は特に干ばつによる被害も増加し、これまで洪水や地震対策が主であった災害リスクマネジメント戦略を更新もしくは拡大する必要性がある。しかしながら、これまでの災害リスクマネジメントは、自然災害が主対象であり、その他の環境災害などを念頭においた対策はとられていない。当研究では、そのような環境災害も含めた「オールハザード型防災」について、まずはガルートの事例をもとに、どのように現在の災害リスクマネジメントを様々な災害リスクに対応できるように更新できるかについてさらに研究を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年半ばから2021年にかけて、新型コロナ感染の影響により、全く渡航ができず、インドネシア側の大学と予定していた相互訪問や視察等を実施することが非常に困難であった。ようやく最初の訪問を2023年に実施することができ、現地の大学・政府と本格的に研究を実施できる準備が整った。今後は、現地政府・自治体・大学等と「オールハザード型防災」の事例収集につとめ、その実現を支援するとともに、その過程を論文として幅広く共有したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に西ジャワ州ガルートにおいて政府・自治体・大学とワークショップを3回実施し、「オールハザード型防災」実現のために、意見交換・議論・提言のまとめ等を行う予定である。2023年9月にガルートを訪問し、現地ステークホルダーとガルートにおいて「オールハザード型防災」を実施することで合意し、2024年2月にその第一回目ワークショップを開催し、ガルートの災害リスクについて議論を深めた。そこで新たな災害リスクとして、干ばつと環境災害が指摘されたが、これまでこれら2つの災害リスクへの備えが十分にできていなかった。そこで、まずはこれらの災害リスクについて把握する作業を現在行っており、2024年6月の第二回目のワークショップでその結果を共有する予定である。さらに、新しい災害リスクアセスメントの結果を州が作成している災害リスクマネジメント戦略にどのように盛り込むのかについて、8月の第三回ワークショップにて議論する予定である。ガルートの後は、さらにインドネシアの他の地域でも、「オールハザード型防災」を実施するよう、インドネシア政府からも要望を受けているところである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020-2022年に予定していた海外渡航や活動が新型コロナ感染の影響で実施できなかった。そのため、その間に予定していた渡航や活動を2023年以降に実施する予定となっており、そのための予算が繰り越された。
|