研究課題/領域番号 |
20KK0042
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
野宮 大志郎 中央大学, 文学部, 教授 (20256085)
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研究分担者 |
矢澤 修次郎 成城大学, 社会イノベーション学部, 名誉教授 (20055320)
首藤 明和 中央大学, 文学部, 教授 (60346294)
森川 裕二 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (90440221)
山田 恭稔 中央大学, 国際経営学部, 教授 (30847744) [辞退]
山本 英弘 筑波大学, 人文社会系, 教授 (20431661)
片野 洋平 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00407347)
ヌルガリエヴァ リャイリャ 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (80824630)
森 啓輔 中央大学, 社会科学研究所, 客員研究員 (30808308) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 一帯一路 / 家族 / コニュニティ / 紛争 |
研究実績の概要 |
本プロジェクトは、2020年秋の科学研究費配分によりスタートした。以下が2023年度に行った活動概要である。 (1)プロジェクト全体の進行概要:2023年度は、研究開始以来初めて、ラオスとカザフスタンという海外調査対象地全てで調査を敢行することができた。2022年度、ラオスではコロナ・パンデミックの影響から様々な調査障害が残り、現地調査ができなかった。しかし2023年度は、この遅れを取り戻すべく、精力的な調査ができた。 (2)カザフスタン研究: 2022年度に行った現地専門家の結果、さらには海外研究協力者との意見交換に基づき、2023年9月、二度目の現地調査を行うことができた。調査地は、2022年度に訪れた大都市アルマトイ近郊にある農村ヌラ村の再訪に加え、中国製品が大量に流入するホルゴス自由貿易区、さらには、その自由貿易区での経済変化に惹きつけられるようにして、新しい人々の流入と新しい交易スタイルが見えつつあるジャルケント市である。一帯一路政策がもたらす社会変化について、大変多くのデータを獲得するなど、実りの多い調査であった。 (3)ラオス研究:中国の一帯一路計画が調査予定対象地域にもたらした影響について、2023年9月と2024年2-3月の2回にわたってラオス国内での調査を敢行した。調査先は、首都ビエンチャンとウドムサイ県、ルアンナムター県である。従来の議論では、中国とラオス社会の非対称的な関係が取り沙汰されてきたが、今回の調査では、中国企業経営者・労働者とラオス村落農業従事者との多様な社会関係、中国教育を通してラオスの若者にもたらされた新しい機会、医療普及や生活条件の改善など、多系的な変化が観察されるなど、新しいデータを獲得できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 本研究のスタート時にはコロナパンデミックが猛威をふるい始めており、当初予定していた海外調査ができず困難を極めたが、海外調査ができない期間に(1)既存文献にて調査対象地に関する宗風的学習と研究、(2)現地社会学者や地域研究者、日本国内研究者を招いてのオンライン学習会・意見交換会を行った。その成果を受けて、2023年度はラオスとカザフスタンの両国にて現地調査を行うことができた。また現地調査で収集した種々のデータは質量とも非常に豊富であり、それらを解析することで一帯一路政策が現地に及ぼす影響について、すでに公表された他の研究では言及されていないことなども論じることができると考えている。こうした認識を元にすると、本調査プロジェクトについては概ね、当初予定していた計画に追いついたと言える。2024年9月にも現地調査をすでに予定していることから、全体としては、研究開始当初に想定した目標に向けて今後も活動を続けられると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に残された研究期間は1年である。この1年間で、プロジェクト出立当初に想定していた研究成果をあげることができると考えている。今年度、調査対象地であるカザフスタンとラオス双方にてそれぞれ3回目の調査を敢行する。この3回目の調査にて獲得したデータの整理と解釈は今年度の後半以降に行う予定である。それを踏まえて調査報告書の執筆、論文の作成、さらには書籍の執筆に向けての活動を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に最終調査を行うため、本年度予算を節約して使用したことが次年度使用額が発生した主な理由である。
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