研究課題/領域番号 |
20KK0048
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
辻野 けんま 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80590364)
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研究分担者 |
高橋 望 群馬大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (10646920)
西口 啓太 関西学院大学, ライティングセンター, 准教授 (40885828)
安原 陽平 獨協大学, 法学部, 准教授 (50723102)
原 瑞穂 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90452036)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 教師教育 / 教職専門性 / 国際比較 / ポスト国民国家 / マイノリティ |
研究実績の概要 |
本研究では、マイノリティと教職専門性の関係をめぐる国際比較・共同研究を通じて、ポスト国民国家時代の教師教育のあり方が考究されている。教師教育制度は国民国家との関わりの中で発展してきたために、教職専門性についても国民国家パラダイムの影響から自由にはなりえない。他面、グローバル化する現代社会においては、国民国家パラダイムを超克した教職専門性を描くことも不可避に重要となる。本研究は、このジレンマに対して、日本および北米、ヨーロッパの諸国の教師教育が、マイノリティの観点からいかに描き出されるか明らかにするものとなっている。 2020年度はCOVID-19の影響から海外調査を実施することができなかったが、それにかえてオンラインでの研究ネットワークを構築した。具体的には、日本、ドイツ、キプロス、カナダ、アメリカを結び、それぞれの国の海外共同研究者との協議を行った。教師教育の今日的課題を探るために必要な作業として、各国の教育事情に関する情報交流を行いつつ、各共同研究者らが教職専門性にどのようにアプローチするか協議を進めた。本科研の採択結果を得た2020年秋からまだ半年ほどを経た段階のため、多くの作業がいまなお発展途上にある。 現段階において、各国の教職専門性がかかわるマイノリティとして、移民・難民にくわえハンディキャップをもつ人々、エスニックグループ、宗教、性的マイノリティなど多岐にわたっており、国によっても教師教育との関連づけの実相が異なっている。とりわけ、背景文脈の異なる各国の状況を同じ議論の俎上に載せるためには、まだ幾度もの議論を重ねていく必要があるが、まずは本科研の中心課題である移民・難民への焦点化について共同研究の土台をつくることができた段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、日本国内の研究分担者と海外共同研究者との協議を進めているものの、2020年度は海外共同研究者が居住する各国においてもCOVID-19の影響が甚大であり、オンラインでの研究協議にもしばしば困難をきたした。とくに、日本、北米、ヨーロッパの時差の大きさから、研究協議を細分化して開催する必要もあったため、研究協議の形態を動画化して共有するなど試行錯誤を重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度上半期は引き続きCOVID-19の災禍が続いているため、オンラインでの研究協議を重ねていくことになる。あわせて、情報共有・情報公開を目的としたwebsiteの構築を進める。調査についても、各国研究者の相互往来は当面できないが、それぞれが可能な範囲で国内調査を進めていくこととする。2021年度中の到達目標としては、①各国における教師教育の基本制度の共有、②教職専門性とマイノリティの関係に関する課題共有、の2点を目指すことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響により海外調査、国内調査がともに困難であったため、旅費の予算を執行することがなかったことから残高が生じた。この旅費については、2021年度以降の旅費財源に加えることとし、COVID-19の収束状況を慎重に判断しつつ相互往来を密に行っていく財源とする。また、謝金についても、その前段階となる研究環境の構築に時間を要したため、事務局体制や翻訳謝金などを執行するまでには至らなかった。2021年度はこうした体制を整備しながら研究体制を盤石なものとしていく。
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