研究課題/領域番号 |
20KK0056
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
矢藤 優子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (20352784)
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研究分担者 |
孫 怡 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (10794688)
安梅 勅江 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20201907)
安田 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (20437180)
吉 げん洪 立命館大学, 人間科学研究科, 教授 (60288694)
Park Joonha 名古屋商科大学, 経営学部, 准教授 (00754300)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 国際比較研究 / 育児支援 / 社会性発達 / 日本 / 中国 / 韓国 |
研究実績の概要 |
本研究は5年間での完成を目指し,日中韓3ヵ国の異なる社会文化的背景の下で,0~2歳児を持つ働く母親が利用する育児支援のあり方を把握した上で,それぞれの支援による母親のwell-beingへの影響を明らかにすることを目的としている。支援の多様性によって養育スタイルも異なるため,子どもを取り巻く様々な養育環境を比較しながら,幼児の早期発達段階において極めて重要な親子関係性を中心に,養育環境が乳幼児の社会性発達と適応に及ぼす影響を解明していく。そして,「気になる子ども」および「援助が必要な家庭」に対して,早期からの家族支援モデルを開発するという理論研究から実践援助への活用も目指している。今年度は研究1として,日中韓の都市部において,それぞれ0~2歳児を持つ働く母親が様々な家庭状況の中で各年齢層の母親がその支援リソースを受けた理由と所感を把握するため,社会復帰後に利用している育児リソースについてローカルな質的インタビュー調査を実施する予定であった。ただし,2020年の初頭から世界各国に広がった新型コロナウイルス感染症の影響を受けて,中国と韓国への渡航ができず,感染予防のため,対面インタビュー調査も中止せざるを得なかった。それに応じて,3カ国の共同研究者と連携し,現地の研究者による協力者の募集とオンライン形式によるインタビューの実施に変更した。そのため,オンラインによる会議を通じて各国の共同研究者と打ち合わせを行いながら,インタビュー調査の質問内容を確定し,インタビューガイドおよび協力者の募集チラシや説明書,同意書などの日中韓3ヵ国語の翻訳を完了した。また,各国の研究対象者をリクルートする準備を整え,立命館大学研究倫理審査申請を行った。現在,倫理審査委員会の承認を得られたのちすぐさまインタビュー調査を実施できるような体制が整っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の世界的感染拡大の影響を受けて,海外渡航を伴う会合や調査が困難な状況にある。この状況に対処するべく,webによる研究打ち合わせを実施し,質問紙やインタビューなどの調査方法をweb化するために時間を要したため,進捗に若干の遅れがみられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究倫理審査が承認されたのち,日中韓の都市部において,それぞれ0~2歳児を持つ働く母親が様々な家庭状況の中で各年齢層の母親がその支援リソースを受けた理由と所感を把握するため,社会復帰後に利用している育児リソースについてローカルな質的インタビュー調査を実施する。さらに,育児支援が働く母親のメンタルヘルスに及ぼす影響について,0歳児を持つ働く母親を対象に,0歳から2歳まで3時点の追跡調査を行い,異なる育児支援による母親のメンタルヘルス(e.g. QOL,育児ストレス)への影響力を比較し,縦断研究によってその因果関係を明らかにする。母親の個体内要因(e.g., 母の性格,就労状況)と家庭環境要因の媒介または調節作用も検討する(研究2)。次に,養育スタイルが乳幼児の適応と発達に及ぼす影響について,日中韓3ヵ国において0歳から2歳まで3時点の追跡調査を行い,多様な育児支援による異なる養育スタイルが,母親のメンタルヘルスおよび親子のかかわり,家族関係性などの養育環境を媒介して,どのように子どもの適応(e.g.,QOL,問題行動)および社会性発達に影響を及ぼすのか,縦断研究でその因果関係とメカニズムを解明する(研究3)。研究4では,養育環境改善モデルの開発と心理臨床的援助として,研究1~3の結果を踏まえて,多様な育児支援リソースによる様々な養育スタイルの中に存在する問題点を発見し,養育環境の改善モデルを開発する。親子のかかわり指標(IRS)および動的家族画といった具体的な指標を手がかりに,「気になる子ども」や「援助が必要な家庭」への臨床的早期発見および早期支援を提供する。支援前後の効果を比較し,介入的支援モデルの有効性を向上させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け,研究進捗にやや遅れがみられるため,研究費執行も遅れている。2021年度は,当該年度の研究計画に加えて2020年度の遅れを取り戻すべく研究を遂行するために,当該助成金を執行する。
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