研究課題
本研究では仏領グアドループ島La Soufriere火山を主な対象として、水蒸気爆発の機構とそれを駆動する火山システムの解明を目的としている。そのため、仏研究者と協力してLa Soufriere火山での噴火堆積物調査を行い、試料の採取・分析を行うことが本質的に重要となる。この調査・分析については、2021年度以降に実施する計画を立てているため、2020年度はその準備期間に充てるとともに、La Soufriere火山における噴火履歴、近年の活動状況、火山体構造等の地質学的背景について情報収集を行った。Pleiadesにより撮影された高解像度衛星画像を用いてLa Soufriere火山の山体形状や表面地形の解析を行い、噴出物の露頭調査の際に必要となる溶岩流の分布等の情報の取得を進めた。また、仏研究者との対面での研究打ち合わせや準備をパリ(IPGP)で実施する予定だったが、コロナ禍で実現できなかった。一方、本研究では、La Soufriere火山で得られる知見を、日本国内の水蒸気爆発の事例や、発生ポテンシャルが高いと考えられる火山の理解にも活用することも目標としている。そのため、国内の事例も含めた近年の水蒸気爆発研究の動向のレビューも必須となる。そこで2014年御嶽山での水蒸気爆発以降発生した事例(2015年箱根火山、2018年草津白根山、2018年霧島硫黄山)について、La Soufriere火山との比較を念頭におき,表面現象の推移や発生場についての情報を収集した。
3: やや遅れている
共同研究者とフランス(パリ,IPGP)での対面での打ち合わせおよび準備を予定していたが、コロナ禍のために実施できなかった。La Soufriere火山における現地調査の実施時期の見通しがまだ立たず、詳細な計画を詰める段階に至っていないので当初の予定より遅れ気味と言える。一方で、調査や分析のための準備については着手している段階にある。
まずLa Soufriere火山における噴火堆積物の調査と試料採取を行うことを優先的目標とする。現状、コロナ禍の状況に応じて対応せざるを得ないが、状況が好転しだいスムーズに現地調査を実施できるよう、可能な限りの準備を進めておく。一方で、国内火山との比較研究は進めることは可能であるので、La Soufriere火山との比較で鍵となる御嶽山や磐梯山の水蒸気爆発を具体例として、表面現象の推移や噴火堆積物の特徴、火山体構造についての知見を整理するとともに、水蒸気爆発研究の現状と課題についてフランス側研究者と情報を共有する。また、国内火山の水蒸気爆発噴出物の調査・分析についても実施する方向で準備を進める。
2020年度中にフランス(パリ)での共同研究者との打ち合わせおよび準備を計画していたが,コロナ禍のために実施することができなかった。主にこの渡航のために計上していた経費を使用できなかったために,次年度使用額が生じた。この経費については,次年度にあらためて共同研究者との打ち合わせや準備を実施することと,日本国内での比較研究において調査・分析を行うために使用する。
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