研究課題
2021年度に宮古島で山田(2002)の分類によるUnit1~4の19層準で石灰藻球石灰岩・サンゴ石灰岩・生砕性石灰岩の採取を行った。採取した微化石用試料について、ストロンチウム同位体分析の試料準備を進めた。また、古地磁気試料のうちのパイロット試料について化学消磁と交流消磁の組み合わせを行い、Unit4に含まれる77万年前のブルン-松山地磁気逆転境界層準を特定した。19層準の古地磁気試料については、振動試料型磁力計を用いて磁気ヒステリシス、等温残留磁化獲得実験、S比、FORC法の測定を行った。全体的に、サンゴ石灰岩よりも石灰藻球石灰岩の磁化安定性が高く、磁化強度も強い傾向が見られた。FORC法からは、単磁区粒子と多磁区粒子およびVortex粒子の特徴が確認できた。石灰藻球石灰岩ではほぼ全ての試料で安定磁化を示す単磁区粒子が卓越する。また、ブルン-松山地磁気逆転境界層準の上位(正帯磁)と下位(逆帯磁)のそれぞれ1層準の試料について、化学消磁を行い、処理前後の試料を2mm角に切断してロチェスター大学の小口径超伝導岩石磁力計を用いて自然残留磁化の磁化測定および段階交流消磁・熱消磁実験を行った。自然残留磁化強度は試料内部で大きく変動する。交流消磁の結果は多磁区粒子の影響が見られるが、正帯磁試料については比較的安定な結果を得ることができた。熱消磁の結果は加熱変質の影響も見られ、その詳細については検討中である。また、2022年度はブルン-松山地磁気逆転境界層準前後について追加試料採取を行った。
3: やや遅れている
液体ヘリウム供給状況の悪化と価格上昇により、超伝導岩石磁力計および走査型SQUID磁気顕微鏡を用いた実験が遅れている。また、新型コロナウィルス感染拡大にともなって日本政府により海外渡航制限がされていたが、特に研究代表者の所属する研究機関では2022年度も海外渡航制限が厳しかったため、2023年2月にようやく海外渡航が可能となり海外研究協力者との共同実験が行えた。
超伝導岩石磁力計による実験を優先し、走査型SQUID磁気顕微鏡を用いた実験は必要最低限とする。2023年度の前半に海外研究協力者のもとでの実験を行い、研究成果が得られるようにする。また、海外渡航していない間も海外研究協力者に実験に協力してもらう。
新型コロナウィルスの影響により2022年度は米国訪問による実験は1回のみであった。また、液体ヘリウム調達の滞りにより、液体ヘリウムを用いた走査型SQUID顕微鏡による分析が遅れている。これらにより、次年度使用額が発生した。2023年度は、米国出張による実験を優先的に実行する。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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