研究課題/領域番号 |
20KK0087
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣谷 潤 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80775924)
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研究分担者 |
大町 遼 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 講師 (60711497)
杉目 恒志 近畿大学, 理工学部, 講師 (60716398)
劉 麗君 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80809195)
山中 真仁 大阪大学, 工学研究科, 特任准教授(常勤) (90648221)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | カーボンナノチューブ / 熱物性 / ドーピング |
研究実績の概要 |
COVID-19の影響が引き続き続いており、国際共同研究先を訪問しての共同研究の見込みが立たないため、国内、海外両側面での熱計測およびナノ材料関連の研究を実施した。 国内研究に関しては、ラマン分光法を用いてナノカーボン材料の一つであるカーボンナノチューブの熱物性に関する研究を実施した。ラマン分光における温度評価で幅広く利用されてきたカーボンナノチューブに特有のGピークに着目し、様々な欠陥密度におけるGピークの温度依存性について調査を実施した。その結果、カーボンナノチューブの欠陥密度が増えるにつれて、Gピークの温度依存性が大きくなる結果を初めて見出すことができた。実際、製造されるカーボンナノチューブの質は様々であり、本研究成果を用いることでより正確な熱物性評価が行えることが期待できる。これ以外にもカーボンナノチューブへの高温安定P型ドーピング方法を確立することができた。具体的には、カーボンナノチューブに対して200℃でも安定なものを得ることができており、今後高温環境下で使用されるアプリケーション応用などが期待できる。 国際共同研究として、ラマン分光法によるカーボンナノチューブの熱物性計測結果などを含めて、12月に共同の研究発表会を行い、双方の研究発表を行うことで、熱物性に関する理解を深めることができた点は、直接訪問しての相互交流が難しい中では苦肉の策ではあるものの、交流を継続しつつ成果を創出できている意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究そのものに関しては、ラマン分光による熱計測、サーモリフレクタンス法による熱計測手法の共同開発など順調に進んでいる。特にサーモリフレクタンス法による熱計測では、実験系を構築するにあたり様々な点で相互アドバイスや意見交換を実施できており、高精度な熱物性実験系を構築するうえで非常に大きな成果を得ることができている。使用する原子層材料に関しても、高温で安定なドーピング技術開発、原子層材料剥離技術開発など、多くの点で想定以上の進展がある。しかしながら、国際共同研究に関しては共同の研究会参加や交流は実施できているものの、現地を訪問しての研究交流ができていない点が課題として残っている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の状況や国際情勢を見極める必要性があるが、研究課題そのものは順調な進展があることから、現地を訪問しての積極的研究交流を残り2年間は実施していきたい。航空機の国際線などの状況改善や、現地での隔離期間の短縮などが見込めない場合は、研究期間を延長することなども視野に研究を推進することで、研究者では合意ができている。2022年度上半期は、引き続きCOVID-19の影響が続くことを想定し、研究課題実施そのものの進展を重点的に実施しつつ、下半期からは現地訪問を積極的に検討しつつ、相互訪問が難しい場合は、オンラインでの最低限の交流などの代替案を実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による半導体不足により、物品購入の納期が長期化したことで、一部商品を年度内に購入できないケースがあった。さらに実際に旅費として計上していた予算が、海外渡航自粛の影響でほとんど使用されなかった関係から、翌年以降の海外訪問を見越して予算を持ち越すこととなった。
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