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2023 年度 実施状況報告書

世界遺産候補チェンマイ歴史地区における人的災害要因に対する危機管理分析基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0101
研究機関佐賀大学

研究代表者

三島 伸雄  佐賀大学, 理工学部, 教授 (60281200)

研究分担者 渕上 貴由樹  佐賀大学, 理工学部, 助教 (00530172)
中山 功一  佐賀大学, 理工学部, 准教授 (50418498)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2025-03-31
キーワード世界遺産 / チェンマイ歴史地区 / 人的災害要因 / 防災危機管理 / 観光 / 避難分析
研究実績の概要

本研究は、チェンマイ歴史地区(以下、歴史地区)における人的災害要因による同時多発的な道路閉塞等を考慮した危機管理分析基盤を構築することを目的としている。本年度は、2回学生を帯同して調査を実施した他、大学院生を2名8月から2月末まで交換留学で派遣、2月半ばから3月まで大学院生1名を派遣し、データ構築ならびに分析を行なった(派遣旅費は別途確保)。具体的には、(1)歴史地区のウォーカビリティ指標の調査分析、(2)ピン川最大氾濫時におけるトリアージを考慮した避難分析、(3)大規模震災時におけるナイトマーケット(NMarket)の避難分析、(4)城壁遺跡を有する運河沿いの低所得者居住地区の調査、(5)大規模火災時を想定したフードマーケット(FMarket)からの避難分析に向けた調査である。
(1)は、当該目的を達成するための基本的なデータの構築と通常時の指標づくりを目的としている。すなわち、道路との接続性ならびに歴史的環境の魅力性から指標を構築し、ウォーカビリティの評価を行なった。(2)は、近年の都市開発の影響でピン川が氾濫した場合には最大5mの水害が生じることを踏まえて、災害時要援護者をトリアージした時とそうでない時の避難時間を分析し、トリアージの効果について検証を行なった。(3)は、歴史地区内で開催されるNMarketとその周辺地区の建物構造を調査した上で、その建物倒壊による瓦礫流出距離を算出し、NMarketの来訪者数際大時の避難分析を行ない、道路閉塞による避難不可領域を明らかにした。(4)は、水害も多くある居住環境と住民意識を明らかにした。(5)は、歴史地区にある3つのFMarketの建物構造、NMarketから400m範囲内の建物調査を実施した。
(2)(4)の一部の成果については、国際会議UIA2023で発表した。また、ArcGISでデータを構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度と2021年度はコロナで全く渡航できず、2022年度に渡航して調査を開始することができた。2023年度においては研究代表者の渡航も2回実施することができ、学生派遣もできて、調査を実施することができた。そして、データ収集したものをArcGISに入力し、分析結果を出すことができた。しかし、当初予定していた国際会議の論文投稿は2本に止まり、現在投稿準備を進めている。
また、チェンマイの世界遺産申請についてはコロナ禍の影響を受けた後、他の史跡遺産が世界文化遺産登録で優先されることになった。そのため、危機管理計画の策定も全体的にゆっくり進められているところである。
以上より、「やや遅れている」と自己評価した。

今後の研究の推進方策

チェンマイ大学に夏頃に渡航して、データ収集、研究打ち合わせを行う予定である。特に、2022年10月までJSPS外国人特別研究員で来日していてチェンマイ世界遺産コアチームのメンバーでもあるDr. Nattasit Srinurak講師、ならびに本研究代表者(三島伸雄)の研究室で2022年9月に博士号を取得したDr. Janjira Sukwai博士が学際研究研究所におり、また連携している同大学建築学部Umpiga Shummadtayar助教と研究を打合せする。
また、Umpiga助教の修士学生として上記(3)の研究を実施した吉田裕衣が留学している。さらに夏頃から佐賀大学修士の学生が交換留学で渡航する。また、チェンマイ大学から佐賀大学博士前期課程に留学しているKomsonを含めて調査を実施する。
一方で、11月にスペインで開催される国際会議Urban Transition2024に採択されれば、これまでの研究成果をさらに発表する予定である。
これらによって、研究を推進する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度、2021年度の2年間のコロナ禍により調査が遅れ、2022年度と2023年度の研究実施により挽回はしているものの、いまだに当初予定より遅れがあり、そのために次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] チェンマイ大学学際研究研究所/チェンマイ大学建築学部(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      チェンマイ大学学際研究研究所/チェンマイ大学建築学部
  • [雑誌論文] Participatory Placemaking for Inclusive Food Security: A Case Study of Chiang Mai Urban Farm, Thailand2023

    • 著者名/発表者名
      Duangputtan Patcharaporn、Mishima Nobuo
    • 雑誌名

      Design for Resilient Communities: Proceedings of the UIA World Congress of Architects Copenhagen 2023, Springer

      巻: 1 ページ: 205~217

    • DOI

      10.1007/978-3-031-36640-6_15

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Possibility of Public Facility as a Temporary Evacuation Shelter for Overnight Tourists at Internal Flooding: A Case of the Historic Center in Chiang Mai, Thailand2023

    • 著者名/発表者名
      Nishimura Kanami、Mishima Nobuo
    • 雑誌名

      Design for Resilient Communities: Proceedings of the UIA World Congress of Architects Copenhagen 2023, Springer

      巻: 1 ページ: 431~452

    • DOI

      10.1007/978-3-031-36640-6_32

    • 査読あり
  • [学会発表] 道路網の接続性と沿道魅力度に着目した遺産観光型歩行アクセシビリティ指標の理論的構築 - タイ国チェンマイ旧市街地におけるケーススタディ -2024

    • 著者名/発表者名
      相庭祐太、三島伸雄
    • 学会等名
      日本建築学会九州支部
  • [学会発表] 宿泊観光客の二重の災害脆弱性に着目した歴史的観光都市の避難計画に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      西村奏波、三島伸雄
    • 学会等名
      日本建築学会九州支部

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公開日: 2024-12-25  

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