研究課題/領域番号 |
20KK0109
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
荒木 稚子 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40359691)
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研究分担者 |
荒居 善雄 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70175959)
山田 典靖 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60850881)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | MAX相 / 力学特性 / 分子動力学法 / 耐熱材料 |
研究実績の概要 |
金属とセラミクスの特長を併せ持つ「MAX相」は,新たな超耐熱材料として世界的に注目されている.近年代表者と共同研究者は,多孔質のような複雑微細構造を有するMAX相に極薄い酸化被膜を形成することで,その機械的特性を飛躍的に向上させることに成功している. 一方で,不適切な酸化微細構造は特性の著しい劣化を招くことを確認している.これらの結果は,最適微細構造の創成により,超耐熱・軽量かつ高強度・高靭性(高強靭性)のMAX相が実現する可能性を示唆している.そこで本共同研究では,代表者の「力学・拡散挙動複合評価による構造設計技術」と共同研究者の「MAX相に関する革新作製技術」の融合により「超耐熱・高強靭MAX相を実現する新規微細構造の創成」を目指す.国内での実験・数値解析に基づいて酸化・高強靭化機構を明らかにした上で新規微細構造の提案を行い,共同研究先の技術を駆使して提案微細構造を実現することを目指す. 本年度は,Ti2AlC系MAX相および異なる量のセラミクス繊維材料を混合した複合材料の室温~高温機械的特性評価として一軸圧縮試験を,また耐熱性評価として見かけの脆性・延性転移温度の測定を行った.走査型電子顕微鏡およびエネルギ分散X線分析により表面・破面観察を行うことにより,本材料の力学的特性・耐熱性の向上機構を明らかにした.また,本年度得られたTi2AlC系MAX相および複合材料に関する結果,昨年度までのCr2AlC系MAX相および複合材料に関する結果,耐熱合金に関する文献値を体系的にまとめることで,本材料の耐熱材料として位置付けを整理した.さらに本年度は,分子動力学法を用いてTin+1AlCn系MAX相の諸物性(格子定数,弾性定数,線膨張係数など)を求めるための基礎技術を確立した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により実験が進められない期間があったものの,Al系MAX相およびその複合材料については,おおよその実験計画が達成できた.一方で,分子動力学解析については,順調に進めることができて,解析技術基盤が確立された.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,実験については,マクロな力学評価がほぼ終わっているので,ミクロな評価を進め,さらなる機構理解を進めていく予定である.解析については,Tin+1AlC系については,分子動力学法による解析基盤ができたことから,力学・拡散等に関する解析を進めていくと同時に,Crn+1AlC系に関する解析について検討を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,共同研究先で実験を行うための外国旅費が使えなかったため,次年度に渡航・滞在を計画をしている.
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