研究課題/領域番号 |
20KK0117
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
組頭 広志 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00345092)
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研究分担者 |
相馬 清吾 東北大学, スピントロニクス学術連携研究教育センター, 准教授 (20431489)
北村 未歩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (00783581)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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キーワード | 放射光 / 量子ビーム / 角度分解光電子分光 / 軟X線分光 / 酸化物エレクトロニクス / 強相関電子系 / 酸化物ヘテロ構造 / 機能性ナノ構造 |
研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、海外の次世代高輝度放射光施設の先端解析技術と日本側の酸化物デバイス作製技術とを組み合わせ、酸化物デバイス・ナノ構造研究を国際共同研究の下に加速させることである。具体的には、国内の放射光施設では観測することの難しい、酸化物デバイス界面数nmの領域で発現する特異な量子(電荷・スピン・軌道)状態をそれぞれの自由度に分けて可視化し、その知見に基づいた機能設計を行う。これにより、現状のボトルネックを解消し、明確な設計指針の元に酸化物デバイス開発を進める。さらに、本研究を通した欧州の放射光施設での研究交流を通じて、次世代光源である東北放射光への最先端放射光解析技術の導入を図る。
本年度は、新型コロナ禍による渡航制限のため、研究実施が見通せない状況が続いた。また、この状況は長期化する恐れがある。そのため、本年度は新型コロナ禍の長期化を見据えて、テレワークを主体として、それぞれの機関・放射光施設で実験を遂行するためのネットワークを構築することに注力した。具体的には、1)真空試料搬送システムを用いた試料のやりとりを行い、2)放射光実験は遠隔操作で行い、3)テレビ会議システムを用いてリアルタイムでの実験データ解析や結果に関する議論行う、環境を整備した。
本来ならば、2021年3月に2~3週間、パリ南大(SOLEIL放射光施設)で新しく稼働し始めたナノARPES装置を用いた共同実験を行うべく準備を整えていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念した。その一方で、オンラインを積極的に用いて、パリ南大学のグループと今後の研究方針に関する打ち合わせを行うことができた。また、オンラインで密に議論することで、これまでの共同研究で得られていたデータを再解析し、国際共同論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による渡航制限、および共同研究先の研究活動制限により、実質的な国際共同研究が出来ていない。パリ南大学およびブルツブルグ大学の研究者とはオンラインツールで打ち合わせを行っているが、実際の国際共同実験は状況が落ち着いてきてからの対応とならざるを得ない。特に、実地での作業は難しいため、スピン・軌道分解ARPES測定技術の開発、ナノARPES装置でのオペラント測定化のための電圧印加機構の設計・開発、およびオペラント測定用試料ホルダーへの酸化物デバイス構造の組み込みなどは、依然打ち合わせの段階である。欧州における国際共同実験については、共同実験が可能になった時点で出来るだけ速やかに実施することが、現在取りうる最善の方法と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年4月時点で、新型コロナウイルス感染症による国際共同研究活動への影響は極めて大きく、どの時点で欧州に渡航(もしくは若手研究者を派遣)し共同実験を行うことが可能となるか見通せない状況が続いている。従って、欧州の次世代放射光を用いた酸化物デバイス研究については今後の予定を立てることが難しくなっている。そのため、オンラインで可能な限りの共同研究を進めつつ、渡航制限が解除され次第、国内外の感染状況に留意しながら、各研究拠点・放射光施設に滞在して実際の実験を遂行する。もし、長期化する場合は、高エネルギー加速器研究機構放射光施設Photon Factory(PF)において整備を進めている上記のシステムを用いて、欧州側から試料搬送システムにより送付された試料の遠隔測定を行う。また、同時に同様のシステムを海外側にも整備してもらうことで、将来的なデジタルトランスフォーメーションを視野に入れた国際共同研究体制の構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナ禍による渡航制限のため、研究実施が見通せない状況が続いた。新型コロナウイルス感染症による国際共同研究活動への影響は極めて大きく、どの時点で欧州に渡航(もしくは若手研究者を派遣)し共同実験を行うことが可能となるか見通せない状況が続いている。従って、欧州の次世代放射光を用いた酸化物デバイス研究については今後の予定を立てることが難しくなっている。
本事業の目的は、海外の次世代高輝度放射光施設の先端解析技術を用いて、国内の放射光施設では観測することの難しい、酸化物デバイス界面数nmの領域で発現する特異な量子(電荷・スピン・軌道)状態をそれぞれの自由度に分けて可視化し、その知見に基づいた機能設計を行うことにあるので、欧州における国際共同実験が可能になった時点で出来るだけ速やかに実施することが、現在取りうる最善の方法と考えている。そのため、本年度の研究経費の大部分を繰り越して、新型コロナ感染症が収束次第、酸化物デバイス・ナノ構造研究を国際共同研究の下に加速させる予定である。
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