研究課題/領域番号 |
20KK0121
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
永木 愛一郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80452275)
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研究分担者 |
宮村 浩之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00548943)
信田 尚毅 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教 (20839972)
殿村 修 京都大学, 工学研究科, 助教 (70402956)
芦刈 洋祐 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (70865584)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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キーワード | グリコシルカチオン / フローマイクロリアクター |
研究実績の概要 |
有機カチオン種は正電荷を有した短寿命な活性中間体であり、化学反応や生体反応において最も頻繁に発生する中間体の一つである。有機化学分野で古くから合成に利用されており、現在も主にカチオン前駆体とLewis酸から求核剤が共存する条件においてカチオン中間体を平衡的(可逆的)に発生させ、求核剤で瞬時に補足することにより様々な化合物合成に利用されている。一方で、有機カチオン種は、その不安定さから求核剤の共存しない条件(非共存条件)において非平衡的(不可逆的)に発生させることは困難であり、これがカチオン化学の展開を妨げてきた。特に糖鎖合成の中心となるグリコシル化反応の鍵中間体と考えられて いるグリコシルカチオンは、極めて不安定であることから、直接的な観測は達成されておらず、その構造や反応性の研究は推定の域を出ていない。このような背景のもと、本国際共同研究では、フランスポワティエ大学のThibaudeau教授との共同研究を通し、我々のフローマイクロ合成技術とThibaudearu教授の超強酸技術とを融合させた超強酸フロー技術の構築を行う。本年度は、前年度に開発したフロー型電解合成装置を活用し、フローマイクロリアクターを用いた不可逆的なグリコシルカチオン発生とその反応の検討を行った。その結果、グリコシルカチオンのフロー電解発生とその後のグリコシル化反応を達成した。特に糖の構造(保護基や立体化学、員数など)により、発生効率が大きく異なることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたフロー電解によるグリコシルカチオン発生を達成したため
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今後の研究の推進方策 |
引き続きフロー電解法によるグリコシルカチオン発生法とその反応の検討を行う。とくにフローマイクロリアクターの特徴である精密な滞留時間制御を活用し、反応時間による生成物の変化からグリコシルカチオンおよびその誘導体の性質を解明していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な半導体の供給不足により使用を予定していた分析装置の納品が遅れ、予定していた実験を一部次年度での実施に変更したため
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