研究課題
π共役分子を有機半導体材料に用いた有機エレクトロニクスは、次世代デバイスの有望候補である。本研究では、有機エレクトロニクスの新展開に繋がる有機半導体材料をマックスプランク高分子研究所(MPIP)の Blom 教授と共同で開発することを目的とする。とりわけ、高性能・高機能化に向けて重要であるにも関わらず、分子設計指針が確立途上の物理的性質に着目し、これらの機能を積極的に付与した新機軸の有機半導体材料を創出する。本研究では大阪大学産業科学研究所で材料合成を行い、研究代表者と研究分担者らがMPIPで薄膜・デバイス評価を行う。有機エレクトロニクスにおけるデバイス物理の世界的研究拠点であるMPIPにおいて、若手研究者間の人的交流を含めた国際共同研究を系統的かつ多面的に実施することで、最先端の学術的知見を得るのみならず、分野横断型の強固な国際的ネットワークを構築する。本年度は新機軸の電界発光素子への応用に向けた材料として、捻じれ構造を活かしてフロンテイア軌道レベルを精密に調節した共役ポリマーを設計・開発し、基礎物性評価を行った。このポリマーに関して、研究分担者がMPIPで機能評価を行っている。また、有機太陽電池への応用に向けた低分子系アクセプター材料として、当研究室オリジナルの被覆部位や電子受容性部位を組み込んだ共役分子開発を系統的に行い、分子構造と基礎物性の相関を解明するとともに、太陽電池評価を行った。さらに、双極子モーメント、誘電率、近赤外吸収などのパラメーターに着目した材料開発にも着手した。
2: おおむね順調に進展している
電界発光素子、有機太陽電池など、有機エレクトロニクスに向けた材料開発は順調に進捗しており、電界発光素子材料に関してはMPIPでの評価に着手したため。
次年度以降も現状の方向性を維持することで研究を進展させる。新型コロナウイルスの影響でドイツ訪問がこれまで難しかったたため、次年度以降、積極的に派遣を進めていく。
新型コロナウイルスの影響による渡航制限のため、マックスプランク研究所への滞在が計画より短期間となったため予算の未消化が発生した。差額については次年度以降の現地滞在日数を増やすことで対応する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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