研究課題/領域番号 |
20KK0124
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三浦 章 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10603201)
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研究分担者 |
藤岡 正弥 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40637740)
後藤 陽介 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (60760783)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 反応理解 / 層状化合物 / 新規物質探索 |
研究実績の概要 |
計算科学の発展によって、物質の構造・特性・熱力学的安定性に関する知見を用いた材料開発が行われるようになった一方で、材料合成は未だに試行錯誤によって行われており、時間がかかり、不確実性があり、成功するにはセレンディピティが必要になることもある。そこで研究では、層状化合物の合成反応を逐次的な反応の可視化と論理化によって明らかにし、新規層状化合物の論理的な探索を目指すものである。
主要な成果として、複雑なセラミックスを合成する反応を,2相間の逐次的な反応に分けて考えることで、固相反応全体を理解する反応モデルを提案し、本年度その研究成果をAdvanced Materialsににて発表した。本年度の新たな成果のうち主要なものとしては、イオン伝導体であるLi3YCl6の多形の合成があげられる。SPring-8での放射光XRDを用いたその場解析によって、LiClとYCl3の反応が進行する際にYサイトが不規則化した準安定相が形成することが明らかになった。この不規則相はさらに温度を上昇されることで既知の規則相へと変化する。DFT計算からもとめた結晶中のYの移動障壁と実験から求めたYの規則化の活性化エネルギーはおおよそ一致したことから、準安定相の安定化に高価数のイオンの移動が重要であることが確かめられた。また、Eu5In2As6、EuIn2As2-xPxといった新規層状熱電材料も着実に見つかっている。
海外での国際共同研究としては、2022年3月にミシガン大学にてWenhao Sun教授と研究打ち合わせを行った。速度論的に競合したメカニズムを理解するために、計算科学と実験を組み合わせて理解するためのフレームワークについて議論を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合成反応モデルの提案をAdvanced Materialsに発表し、新規化合物も発見していることから、研究は極めて順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は順調に進んでいるものの、コロナ禍の影響もあり現地での滞在は1度のみとなっている。令和4年度は、新規材料探索および合成理論に関する研究を加速するとともに現地での滞在を通じてネットワーク形成にも取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で予定していた海外共同研究ができず一部を繰り越した。今年度は予定していた海外滞在を通じて予算を使用する計画である。
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