研究課題/領域番号 |
20KK0132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
志柿 俊朗 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (90825217)
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研究分担者 |
前島 健作 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20726062)
宮崎 彰雄 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (70847748) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | ファイトプラズマ / フィリピン / ソロモン諸島 / ブーゲンビル / LAMP法 / 分子疫学 / 遺伝的多様性 |
研究実績の概要 |
2023年度より新型コロナウイルスによる渡航制限が緩和されたことにより、フィリピンおよびブーゲンビルにおける調査を実施することができた。また、ソロモン諸島も含めて各国の現地協力者に収集を依頼していたFTAカードまたは精製DNAによる植物サンプルについても受領し、解析を進めた。ソロモン諸島のサンプルでは新たに複数のサンプルにおいてファイトプラズマ陽性であることが確認された。また、感染しているファイトプラズマの詳細な遺伝子配列解析により、昨年得られていた陽性サンプルも含めて、互いに非常に近縁ではあるものの宿主ごとに区別できる可能性が示唆され、これまで知られていなかった感染環が明らかになりつつある。また、過去に感染報告のなかった植物においても陽性となる検体が得られており、新たな病害の発見につながる成果を出すことができた。これについても、さらなるサンプル収集と遺伝子配列解析を進めている。フィリピンのサンプルでも多数のファイトプラズマ陽性サンプルを得ることができており、これらについても遺伝子配列解析を進めている段階にある。 加えて、本研究計画の基盤となるLAMP法によるファイトプラズマのユニバーサル検出技術(種を問わず全てのファイトプラズマを検出できる技術)と、加熱のみによるきわめて簡易なDNA抽出技術を確立することができた。この成果により、インフラの整わない島嶼部などにおけるファイトプラズマ感染植物の検査が可能になり、本研究計画の遂行に役立つことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地への渡航が可能になったことにより、調査とサンプリングをきわめて順調に実施することができたため。また、得られたサンプルについてもファイトプラズマ陽性となるものを確保できており、それ以降の解析も順調に実施することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は解析に注力するとともに、ソロモン諸島では当初の想定以上に感染植物が得られているため、現地に渡航して重点的なサンプリングを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度にソロモン諸島における現地調査を予定していることが大きな理由である。日本からの渡航経路はかなり限られ費用も高い上、渡航に際しては現地におけるサポート要員の確保なども必要である。加えて、大幅な円安の影響もあり、相応の予算を確保する必要があった。
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