研究課題/領域番号 |
20KK0145
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 政良 筑波大学, 生命環境系, 名誉教授 (70021722)
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研究分担者 |
石井 敦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90222926)
申 文浩 福島大学, 食農学類, 准教授 (50710216)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 参加型灌漑管理 / ベトナム / 水管理組織 / 国と農民の役割分担 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ベトナムが導入するべき参加型灌漑管理制度に関して、有効かつ合理的な制度の基本デザインを、現地実測調査に基づき、ベトナム水資源アカデミー参加型灌漑管理研究センターと共同開発するものであるが、本年度は、予定していた訪問および現地調査ができなかったことから、遠隔的に可能な活動を行った。 Emailを通して、研究の計画と意図を、詳細にベトナムに伝えるとともに、ベトナムの水管理の現状と日本の経験の評価について情報交換を行い、相互の国の理解の深化がなされた。 また、ベトナムにおける、現地調査実施に必要な環境条件を整えるため、海外共同研究者が、関係政府機関へのコンタクトを行った結果、農業農村開発省(MARD)向けに、研究の目的と実施計画を提出し、MOU(Memorandom of Understandings, 相互理解のメモ)を取り交わすことが必要であるとされたので、その作成のための意見交換を行った。 現地での実質的な活動ができないことから、研究内容自体についての成果は上がっていないが、当初計画で予定した第1段の活動である、日本側とベトナムCPIMとの情報交換と相互理解のプロセスを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナパンデミックによる渡航制限が理由である。ベトナムでは、全体としてCOVID-19 のコントロールに成功し、数ヶ月間患者が発生しないという状況も続いたが、外国人の入国については、2週間のホテル隔離が課され、3月になって専門家の短期滞在者に対する特別措置が実施されたが、カウンターパート組織以外のメンバーとの接触が禁じられたため、現地調査が実施できないこととなり、訪問を断念した。そのため、研究メンバーのベトナムCPIM研究員とのセミナー、現地調査の実施ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度半年間の作業計画が積み残しになったが、さらに半年間程度の渡航が遅れる可能性がある。本年10月を目標に渡航計画を立て、ほぼ1年遅れで研究を進める。 当初研究計画の通りに、(1)日本とベトナムの研究者による相互プレゼンテーション、討議で、ベトナム側研究者が、日本の水管理との対比により、自国の水管理が持っている課題と改善の方向性を把握・設定する。その後、MARDとの議論、MOU交換を行う。(2)現地調査のため①Thai Binh 省(紅河デルタ輪中地区)、②Binh Dinh 省(中部地域傾斜地重力灌漑地区)の2地区で現地水配分観測・調査を行う。ベトナムの灌漑管理体制の下での水配分状況とそれを生じさせる関係者の活動を明らかにする。研究全期間を通した調査(当初計画4年6作)により、実証データで現在のベトナムPIMの問題点を含めた総合評価を行う。 (3)集落における農業従事者の、行政文書とアンケート・面接により、近年の営農形態の動向を把握する。将来求められる圃場形態、水管理形態を描き、農村リーダー等の反応を得る。 (4)上記の成果を受けて、CPIMとの共同討議で参加型灌漑管理の基本デザインをとりまとめ、MARDに対して提案、実行可能性を評価する。 当初計画では、4年6作の現地観測調査を行う予定であったが、現時点計画で1年2作が失われている。より確固とした研究成果を得るためには研究期間の1年延長が必要になるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの蔓延により、ベトナムへの訪問ができなかったこと、さらに現地調査も開始できなかったことから、旅費支出および測定機器の購入支出ができなかったことで、予定した予算支出のほとんどが未使用になった。 しかし、前記したように、可能であれば、計画通り、4年6作の灌漑調査を実施したいと考えており、そのために1年の研究期間の延長を希望している。現在まで、海外共同研究者と連絡を取りながら、遠隔でできることをしているので、研究中断ではなく、実質的に1年間の遅延でそのまま当初研究計画を実施したい。そのため、予算の使用計画は、1年遅れでそのまま執行したいと考えている。
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