研究課題/領域番号 |
20KK0146
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
片岡 良太 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00635104)
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研究分担者 |
谷口 武士 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 准教授 (10524275)
黄瀬 佳之 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00818528)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | Mesembryanthemum edule / M. chilensis / 内生細菌 / 植物生育促進細菌 / 塩生植物 / 塩類集積土壌 / ファイトレメディエーション |
研究実績の概要 |
今年度はMesembryanthemum属植物の耐塩性や吸塩性、内生細菌相の調査を実施した。本研究で使用したM. chilensisは愛知県田原市の海岸沿いで採取した。また、M. eduleについては、トルコ西部のエーゲ海沿い(クシャダス、ダッチャ、マルマリス)で採取した。上記2種のMesembryanthemum属植物を用いて耐塩性試験を実施した。塩濃度が50 mM, 100 mM, 200 mM, 400 mM, 600 mMに土壌を調整し、栽培試験を行った。栽培は、M. chilensisについては、山梨大学の人工気象室(気温:20℃、湿度70%)で行い、M. eduleは、アンカラ大学のガラス温室内(気温25℃~30℃)で80日間行った。栽培終了後に新鮮重量、乾燥重量を測定した。そして、吸塩性評価と植物体中の微生物相を調査した。その結果、M. chilensisとM. eduleは交雑も可能なほど近縁種だと言われているが、今回の試験から耐塩性に関しては大きな違いが見られた。M. chilensisは塩濃度が100 mMまでは旺盛に生育したが、200 mM以上になると急激に生育不良を示した。対照的に、M. eduleはNaが含まれていない土壌よりもNaが含まれている土壌で生育が良くなり、600 mMでも抑制することなく生育した。また、吸塩性評価試験結果からM. chilensisでは、塩濃度600 mMで栽培すると植物体中の塩濃度が150,000 mg/kgに達することから本植物種も吸塩力は高いことが明らかになった。内生微生物相もM. chilensisとM. eduleで大きく異なり、多様度指数はM. chilensisのほうが大きな値となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Mesembryanthemum属の耐塩性および吸塩性が明らかとなり、さらに植物内生細菌相が明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
内生微生物の環境適応戦略の解明と植物生育促進微生物の選抜を実施し、内生細菌が関与する塩生植物の代謝と耐塩および吸塩性機構の解明を試みる。また、シミュレーションによるファイトレメディエーションの有効性評価に向けたデータ収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた解析費用よりも安く解析することができたため。次年度に速やかに使用する。
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