研究課題/領域番号 |
20KK0147
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
前田 守弘 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (00355546)
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研究分担者 |
染谷 孝 佐賀大学, 農学部, 客員研究員 (30154719)
赤尾 聡史 同志社大学, 理工学部, 教授 (30448196)
中村 真人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (60414463)
折立 文子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (90535303)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 嫌気発酵堆肥 / 窒素循環 / 拮抗作用 / 温室効果ガス / 微生物群集 |
研究実績の概要 |
本研究では,嫌気性堆肥と好気性堆肥の機能性および環境負荷を比較することで,嫌気性堆肥の利点と欠点を明らかにし,両堆肥の特性を活かしたバイオマス活用堆肥を提案する.本年度はベトナムに合計4回(6月,8月,12月,3月)渡航し,現地調査および研究検討会を行った.また,嫌気・好気条件の異なる堆肥をフエ大学内で試作した. 嫌気性堆肥が一般的になった背景・理由の解明については,現地農家の堆肥・堆肥施用土壌の分析を行い,日本の一般的な値と比較した.また,現地のバイオマス発生情報を収集し,堆肥資材の選択肢を検討した.堆肥化過程における環境負荷については,フエ大学バイオテクノロジー研究所内で堆肥化試験を実施し,嫌気堆肥は堆肥化開始当初からメタンが生成され、メタンが生成しやすい条件であることがわかった.農研機構内でも好気性堆肥と嫌気性堆肥を作成し,堆肥化方法の違いが窒素の肥効,温室効果ガス生成等に及ぼす影響を解明した.堆肥施用土壌における環境負荷については,ベトナム在来堆肥(嫌気性堆肥)3種類を異なる土壌(壌質砂土,砂質埴壌土)に施用し,温室効果ガス発生量を調べた.その結果,pHが比較的高く,C/N比が小さい堆肥を施用すると,N2O放出量は少なく,CO2およびCH4排出量が多くなったものの,土壌による違いが大きいことがわかった.堆肥の衛生状態および病害菌拮抗作用に関しては,好気性堆肥の方が大腸菌数の減少速度が速いこと等を解明した.微生物叢に与える影響の解明に関しては,ベトナムで採取した堆肥の細菌群集構造を明らかとした.ベトナム堆肥間でも細菌群集構造に差異が見られたため,参考に日本の市販堆肥を加えてベトナム堆肥の分類(除歪対応分析)を行った.また,ベトナム堆肥原料に含まれる甲殻類殻の影響に着目し,キトサン添加が土壌に与える影響を考察した.その結果,キトサンのアミノ基由来と考えられる無機成分の増加を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度からはベトナム渡航が可能になり,ほぼ計画通り研究を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であり,研究成果を論文として発表するとともに,成果発表会を現地で実施予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大による影響で,2年目まではベトナム渡航が難しい状況にあった.2024年度にも渡航日数を増やし,全体として遅れを取り戻すため.
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