研究課題/領域番号 |
20KK0154
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田仲 哲也 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (00322842)
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研究分担者 |
草木迫 浩大 北里大学, 獣医学部, 助教 (10838220)
二神 泰基 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (60512027)
山崎 渉 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70393262) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | 牛マダニ媒介性感染症 / マダニ / ピロプラズマ症 / PCR / LAMP / RPA |
研究実績の概要 |
マダニ媒介性感染症は、人や家畜に致死的な症状を引き起こし、地球規模で畜産業の脅威となっている。マダニ媒介性感染症の制御には、流行実態をグローバル(空間的)な視点により解明し、その地で現在流行しているマダニ媒介性感染症に適した「現地即応型」な診断対策を講じる必要がある。本研究では、我が国と畜産・農産品の輸入貿易が盛んなフィリピンに着目した。当国における遺伝的に多様なマダニ媒介性病原体の集団を対象とし、ゲノム疫学的手法に基づくマダニ媒介性感染症の流行実態の解明と、ゲノム情報に立脚した現地即応型のマダニ媒介性感染症における診断法の構築を目指す。本成果は畜産業向上のための国際貢献」につながる。本研究はフィリピンにおける牛マダニ媒介性感染症の流行実態を明らかにし、フィリピンの診断対策の向上に資することを最終目標とした。 【現地フィールドワーク 主担当:田仲・Galay】 DNAサンプル解析:2023年にフィリピン北部で採取した牛の血液DNAサンプルを用いて、牛ピロプラズマ症の遺伝子診断・解析を行った。 【国内ラボワーク 主担当:田仲・草木迫】 遺伝子診断法の構築:牛のピロプラズマ症について、現地で利用し易いLAMPやRPA解析用のプライマーを考案し、LAMP法やRPA法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年8月に共同研究者であるフィリピン大学からGalay博士が来日したことと、2024年3月研究代表者である田仲がフィリピン大学を訪問し、本研究に関する研究打ち合わせを行うことができ、お互いの連携が確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
【現地フィールドワーク 主担当:田仲・草木迫・Galay・Divina・Pilapil-Amante・Talactac】 ・フィリピンにおける牛マダニ媒介性感染症の疫学調査:広範囲の疫学調査と主要流行マダニ媒介性病原体の特定 ① 調査地域選定:フィリピン北部、中部、南部を調査地域として選定する。② サンプル採集:各地域において、牛・水牛農家を選定し、血液サンプルを採集し、PCRによる簡易診断を実施する。簡易診断結果に基づいて本格的調査の場所を決定する。③ 遺伝子診断:LAMPによる遺伝子診断を実施する。④ 流行株の特定と核酸の抽出:上記DNA診断結果に基づいて、主要流行株を特定する。次に、特定した牛・水牛より大量血液サンプルを採取後、全DNAを抽出し、日本に搬入する。 【国内ラボワーク 主担当:草木迫・二神・田仲】 ・主要流行株の全ゲノム解読とデータベースの構築①次世代シークエンサによる各種病原体の全ゲノム解読:主要流行株の全ゲノムについて、次世代シークエンサーMiSeqやナノポアシークエンサーMinIONを用いて解読する。② 遺伝的多型の推定:ゲノム全体の遺伝的多型を最も良く反映する可変領域を全ゲノムの解析結果から特定する。③ データベースの解析・構築:ナノポアシークエンサーと次世代シークエンサーMiSeqで得られた結果から、主要流行株のゲノムデータベースを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
[次年度使用額が生じた理由] COVID-19の影響のため、フィリピンに頻繁に渡航できず、消耗品ならびに旅費が消化できず、次年度使用額が生じた。 [消耗品費] 遺伝子クローニング、大腸菌培養、塩基配列解読、遺伝子診断法などに必要な遺伝子工学試薬・一般試薬類・培地類などに使用する。[旅費] 研究代表者・分担者の国内研究打合せやフィリピン渡航費・滞在費のために使用する。[謝金] サンプル処理や遺伝子解析などの研究補助に対する謝金として使用する。[その他] サンプル送料、データ解析料、論文掲載料などに使用する。
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