研究課題/領域番号 |
20KK0155
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
藤原 祥高 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70578848)
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研究分担者 |
伊川 正人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20304066) [辞退]
江森 千紘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10868136)
櫻井 伸行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特別研究員 (10808281)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 精子膜タンパク質 / 透明帯通過 / 種特異性 / 進化 |
研究実績の概要 |
本研究では、受精膜融合と異種間受精を制御する精子膜タンパク質の探索と機能解析を目的に、実験動物の小型魚類とマウスを用いて取り組む。研究代表者と若手研究者らがチームを組んで国際共同研究先のウィーンバイオセンターにて小型魚類の解析を行い、その成果を国内でマウス解析へと還元することで、魚類から哺乳類までの脊椎動物間で広く保存される受精の分子メカニズムの解明に挑む。
初年度に引き続き今年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、国際共同研究先への訪問研究を中止した。しかし、メールやオンライン会議等で連絡を取りつつ、予定していた解析の一部を完了させた結果、つい最近その成果に関する論文が受理された。また、初年度末に投稿段階まで進んでいた精子膜タンパク質SPACA4に関する論文も発表し(PNAS. 2021)、現在は異種間受精に関する解析を進めている。SPACA4は、魚類ではBouncerと呼ばれ卵子膜に発現するGPIアンカータンパク質で、異種間受精を制御することを共同研究者らが発見した(Science. 2018)。一方、哺乳類SPACA4は精子頭部に局在し、精子の卵子透明帯通過に必要であることをKOマウス解析から明らかにした。次の課題は、SPACA4に対する卵子側因子の同定になるため、前述の異種間受精の解析と並行して行う計画である。魚類では卵子細胞膜、哺乳類では精子膜で発現するユニークなSPACA4/Bouncerが進化の過程でどのようにスイッチしたのかを検証することは非常に興味深いので、脊椎動物モデルを用いて明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に引き続き、国際共同研究先への訪問研究を行うことができなかった。しかし、初年度末に投稿段階まで進んだ論文2報を予定通り発表することができたため、概ね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究代表者らが発見した新たな精子膜タンパク質が受精膜融合に機能することから、種間を超えて機能することを検証するために小型魚類モデルでの機能解析を国際共同研究先で行う計画である。今般の世界情勢が落ち着いて訪問研究が可能な状況になれば、こちらで開発した研究材料を持ち込んで若手研究者らと現地で実験を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため、日本側チームの国際共同研究先への訪問研究として計上していた旅費が次年度使用額として生じてしまった。次年度は今般の世界情勢を考慮して、当初の訪問期間を延長することを計画している。その他に、正立型蛍光顕微鏡一式のセットアップに使用する予定である。
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