研究課題/領域番号 |
20KK0159
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
|
研究分担者 |
河嵜 麻実 新潟大学, 医歯学系, 特任講師 (10609358)
高杉 俊之 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (40823224)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2023-03-31
|
キーワード | メンブレンコンタクト / クライオ電子線トモグラフィー / 脂質交換輸送 |
研究実績の概要 |
膜接触部位とは、細胞膜やオルガネラ膜などの生体膜同士が10-30nmで近接する領域である。膜接触部位では脂質が交換輸送されていることがわかってきたが、その生理的意義は未だ解明されていない。特に、膜接触部位において脂質が交換輸送される領域(脂質交換輸送ゾーン)の機能的情報を含んだ三次元超微細構造に関する知見は、技術的な問題から未だ十分には得られていない。そこで本研究では、クライオ電子トモグラフィーを用いた形態学的アプローチによりその解明を目指した。 クライオ電子線トモグラフィーによる解析を行うためには、専用のグリッドの上に細胞を適した条件で培養しなければならない。特に、細胞の接着条件は、その形態に直接影響を及ぼすために、慎重に検討する必要がある。そこで、グリッド上での最適な培養条件を探るため、ポリLリジン、ポリエチレンイミン、ラミニン、コラーゲンなどの種々のコーティング剤およびそのコーティング方法、培養培地組成や培養方法などにつき検討を行い、最適な培養条件を得た。本研究では、クライオ電子線トモグラフィーを行う際に、観察対象である交換輸送ゾーンを光―電子相関顕微鏡法により特定する。そこで、小胞体―細胞膜コンタクトに局在する種々のメンブレンコンタクト・マーカー分子群を、上記で決定した培養条件で培養し、その挙動を共焦点顕微鏡を用いたライブイメージングにより詳細に観察した。また、他のオルガネラや細胞骨格、脂質代謝制御分子群なども同時にイメージングにより解析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クライオ電子線トモグラフィーによる脂質交換輸送ゾーンの三次元超微細構造解明のためには、細胞の培養条件、特にグリッド上への接着条件を慎重に検討する必要がある。そこで、今年度は種々のコーティング剤およびコーティング方法、および培養条件・方法などを検討し、その最適条件を得た。また、実際のクライオ電子線トモグラフィーによる解析では、光―電子相関顕微鏡法により脂質交換輸送ゾーンを特定し、その構造を解析する。そこで、脂質交換輸送ゾーンに局在する種々の分子群の挙動を、まずは共焦点顕微鏡により詳細に解析した。これらの解析から、クライオ電子線トモグラフィーによる解析にむけた重要な知見が得られ、ほぼ計画通りに進行しているため、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、クライオ電子線トモグラフィーによる解析で使用する細胞株の樹立を行う。その細胞株を用いて、ライブイメージングおよびクライオ電子線トモグラフィーによる解析に着手し、総合的に解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
培養条件の検討がスムーズに進展したこと、および新型コロナウイルス感染拡大による影響などのためである。次年度は基本的には当初の計画に従って使用するとともに、研究の進展状況に応じた効率的な経費の使用を心がける。
|