研究課題/領域番号 |
20KK0166
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 博樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40401228)
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研究分担者 |
海部 陽介 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20280521)
澤藤 りかい 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(SPD) (50814612)
澤藤 匠 (蔦谷匠) 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教 (80758813)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2023-03-31
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キーワード | 古代プロテオミクス / 人類進化 / 海底遺跡 / 台湾 |
研究実績の概要 |
日本では医学や分子生物学において、最先端のプロテオミクス解析がなされているが、生物の進化や多様性を研究する分野において、その応用例はまだごく少数である。一方、欧米ではプロテオミクス解析が、特に人類進化研究に広く応用されている。古代プロテオミクス解析と呼ばれるこの技術は、古代ゲノム解析や安定同位体分析のように広く普及した手法になる日も間近である。 本研究では、私達の研究室を古代プロテオミクス研究の日本における拠点とすることを目指す。本研究は、古代プロテオミクス解析の開発者であるコペンハーゲン大学のエンリコ・カペリニ准教授とこの分野の第1人者であるフリド・ウエルカーとの共同研究として進める。古代サンプルを扱う際には、前処理、コンタミネーションの除去、データ解析などに通常の現生サンプルには無い特別のケアが必要である。本申請では、これまでにこうした特別なケアを学んできた精鋭2名の若手研究者を一定期間コペンハーゲン大学に派遣し、またカペリニとウエルカー両氏を日本へ招聘し、日本国内に古代プロテオミクス技術を移転する。こうして日本が古代プロテオミクスの研究分野で国際的な存在感を発揮する土台を作る。 その最初の一歩として、本研究では台湾の海底遺跡から採取された人骨化石のプロテオミクス解析を進めている。この化石群は、形態から分類群が同定できない未発表の人骨化石を含む。これらの系統推定は人類進化学において極めてインパクトが大きい。海底遺跡出土化石であることから古代ゲノム解析が難しく、古代プロテオミクス解析の威力を示すのに最適な研究対象である。 昨年末に本基金が採択されて以降、台中自然史博物館の張鈞翔博士ら台湾の共同研究者とコペンハーゲンの共同研究者と日本側でオンライン会議を繰り返して来た。そして、最初の標本を台湾からコペンハーゲンへ郵送し、分析の前処理を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナの影響で、現地へ訪問することがほとんど不可能である。しかし、オンライン会議の普及により、日本、台湾、デンマークの共同研究者が、手軽に打ち合わせをする環境が整っている。私達の共同研究も、既に複数回のオンライン会議を実施し、分析や若手研究者(2名)の渡航のタイミングなど、十分な議論が交わされている。
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今後の研究の推進方策 |
若手研究者(澤藤りかい、蔦谷匠)の2名が2021年中にデンマークへ渡航する。分析対象である化石試料は、第1便が、台湾からコペンハーゲンへ既に届けられている。代表者・太田は、ワクチン接種が完了し次第、コペンハーゲンへ訪問する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、予定していた海外渡航が延期されている。このため、次年度使用額が生じた。
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